【児童精神科医が解説】「ウソ」を繰り返してしまう子どもたち、隠された本音を引き出す指導法とは
● 「自分のことを棚にあげる子」の対応策 「見たり聞いたりする力」のトレーニング法は? 子どもが「少し自分のことを棚にあげすぎているな」「正しく自己評価ができていないな」と思ったときは、「見たり聞いたりする力」をつけるためにどんな対処法が考えられるのでしょうか。 まずは、話をするときに、「相手の目を見て話しができているか」「相づちを打てているか」「話をするときは適切に間を空けられているか」「自分がわからない部分は、聞き返せているか」「視線の向きはどこに置いているか」など、対人コミュニケーションにおいて重視すべき基本的なことができているかを確認しましょう。 もしこれらの項目ができていないようであれば、対人関係の基礎となる対人マナーに課題がありそうですのでそれらを練習する必要があります。 具体的には「あいさつ、誘う、尋ねる、頼む、謝る、断る、お礼」といった基本的な対人マナーに対して言葉だけでなく、声をかけるタイミング、相手との距離、視線や身体の向き、表情、声の大きさ、話すスピード、最初にかける言葉などに注意して練習するのがいいでしょう。 相手の表情から感情を読み取る練習も有効です。いろんな人の表情が写っている写真を見せて「この人がどんなことを考えているのか」「どんな気持ちだと思うのか」を想像してもらいましょう。
● CASE3「人の気持ちがわからない子」 表情から感情を察するために必要な能力は? 友達がペットの猫を亡くして悲しんでいるのに、にやにやと笑っていたり、「ペットショップで新しい猫を買えばいいじゃないか」など無神経な発言をしてしまったり。相手の気持ちを考えられない子がいます。その背景には、境界知能やグレーゾーンの子の認知機能の弱さが関係しているかもしれません。 相手の表情を読んで感情を察するには、いくつかのレベルがあります。第1段階では、相手が涙を流していれば「悲しんでいるな」と、笑顔ならば「喜んでいるんだな」と察するなど、相手の表情がきちんと読めるかが重要です。 第2段階は、表情以外の情報や状況から、相手の気持ちを察することができるかです。そして、最後の第3段階では、相手の置かれた状況の背景を想像して、気持ちを理解できるかどうかです。 たとえば、友達がペットを亡くして悲しんでいたら、「あの子は一人っ子だから、もしかしたらペットを弟や妹のように思っていたのかも。弟や妹が死ぬくらいつらかったんじゃないか」などと想像し相手に共感できるレベルです。 しかし、境界知能やグレーゾーンの子で認知機能が弱いと、相手の表情自体が認知しにくいがゆえに、相手が落ち込んでいてもどうしても思いやりのない言動を取ることが増えてしまうのです。