「1年で潰れる」と言われて「日刊ゲンダイ」は50年…寺田俊治社長が激白 最大の売り“激烈な一面見出し”は「私が1人で付けています」
ギネス登録の超長期連載
その五木氏の連載が、創刊時から今に至るまで、1万2000回以上に渡って続く『流されゆく日々』である。 「連載が始まって3年後、ゲンダイがまだ続いていることを『奇跡だ』って五木さんは書いている。それが来年で50周年なんだから」 連載当初、43歳だった五木寛之氏は今年92歳になった。12005回目では「加齢の現実は厳しい」と嘆いている。それでもなお、連載を続けていることのすごさを、寺田社長はこう力説する。 「この日本を代表する流行作家が、50年間ずっと毎日毎日書き続けているなんて、そんな新聞、世界中どこにもないでしょう。ギネスにもすでに登録されているし、また再度更新するんですよ。朝日新聞だろうが、毎日新聞だろうが、これほどの作家が50年間もずっと書き続けることなんてできない。この連載ひとつ取っても、ゲンダイは特異な、唯一無二のメディアであると、それをもっと今の若い人たちに伝えていきたい。こういうオリジナリティを広げていけば必ずニーズはある。掘り起こせる。そう信じてやってる」
コロナ禍が転機に
そう強調する寺田社長には、今から41年前、日刊ゲンダイに入社した当初から抱いていた「明日潰れるかもしれない」という危機感が、今も根強くあるという。それを最も強く感じたのが、社長に就任して4年後、日本全国がコロナ禍に覆われた2020年だった。 「俺が社長になって間もなく、世の中はコロナでしょう。この時は潰れると思った。誰も電車に乗らないし、駅にも行かない。創刊時に国鉄がストをやった1975年と一緒ですよ」 ところが、このコロナ禍が逆に、部数回復の転機となった。 「かえって紙が売れたんだよね。電車に乗る主要読者層のサラリーマンがやることがなくなって。そこで、社長になって初めて特別号を作ったら、これもバカ売れした」 そう言って、寺田社長は2020年4月23日、1部250円で発行した「新型コロナ完全ガイド保存版特別号」を広げた。1面に「熱、咳その時どうする」「症状、相談、検査、入院、投薬のすべて」と、不安に駆られた読者が手に取ってみたくなる記事が並んでいる。 「今はこういう特別号を年に12回、毎月出してます。いろんなジャンルで、この特別号やムックを作ることを念頭に置き、紙の連載やDIGITALの企画を考えてる。紙だけでなくマルチに展開していこうと、そういう基本方針を立ててね。例えば、経済評論家の荻原博子さんに、まずDIGITALで有料プライム会員向けに『老後に備えるお金の基礎知識』というオンライン講座をやっていただく。その内容を文字起こしして、紙用にも1個の特集記事を作る。さらに「物価高を生き抜く! お金の基礎知識」という特別号(今年6月21日発行、Kindle版あり)でも使っていく。つまり、2次利用、3次利用ですよ」