選手間投票で背番号20→1へ 成長したエースが148球投げ抜き、有田工が白星【高校野球佐賀大会】
◆第106回全国高校野球選手権佐賀大会2回戦 有田工4―2(延長10回)早稲田佐賀(12日・県立森林公園野球場) 2年ぶりの甲子園出場を狙う有田工がシード校の意地を見せ、タイブレークで早稲田佐賀に逆転勝ちした。 ■福岡大会16強出そろう【トーナメント表】 有田工は序盤で2点をリードされたが、7回と8回に1点ずつ返して同点とすると、タイブレークとなった延長10回は8番塚本光貴(3年)の適時打と9番大古場彩斗(同)の犠飛で2点を勝ち越し。その裏は左腕エース石永煌希(同)が無失点に抑えた。 この夏初めてエースナンバーをつけた石永は2回までに2失点したが、その後は立ち直り、粘り強い投球を見せた。5回以外は毎回走者を背負いながらも徐々に調子を上げ、7回は先頭打者に三塁打を許しながらもピンチをしのいだ。 相手の早稲田佐賀は4番山元良介(3年)をはじめ、強打者がそろう県内屈指の強力打線を誇る。それでも追加点を許さず7安打2失点(自責1)と粘りの投球で148球を投げきった。「変化球でカウントを取って直球で勝負しました。1番と3、4番を塁に出さないように投げました」。走者がいる場面では山元を申告敬遠して勝負を避けるなど徹底して勝利にこだわった。「石永がよく踏ん張った。ここまで厳しくやってきたけど、本当に良かった。本当にうれしい」と梅崎信司監督はエースの成長した姿に喜びいっぱいだ。 昨秋の九州大会は背番号20でベンチ入りしたが、今春の佐賀大会はベンチを外れた。「夏は背番号1をとってやる」と決意し、練習での妥協をなくした。1年時からやってきた内野の外側を20周するランニングを1日も欠かさず行った。 体力がついて徐々に調子が上がり、練習試合で結果が出るようになってきた。夏の大会の背番号を決める選手間投票では石永が背番号1に選ばれた。「みんなが僕に1番をつけさせてくれた」。昨秋、背番号20だった左腕は仲間が信頼を寄せてくれるエースへと成長した。 3回戦は佐賀西と対戦する。「次も相手は強いので初心を忘れずに投げたい」。エースと認めてくれた仲間のためにも、甲子園を目指して全力投球する。(前田泰子)
西日本新聞社