1日1万歩も歩かなくても健康にいい、座る時間が長めでもOK、最新の研究で明らかに
「いつもより少し多め」に歩くだけで心血管疾患と死亡のリスクが改善
1日9000~1万歩歩くことにより、死亡リスクは30%以上減り、心血管疾患のリスクは少なくとも20%減少する。だが、それより少ない歩数でも効果を得られることが、英国の7万2000人以上を対象とした新たな研究により示された。研究結果は3月5日付けで学術誌「British Journal of Sports Medicine」に発表された。 「病気を生む顔」になる食べ物とは 画像5点 「何らかの活動をすれば必ず有益になります。われわれは、(1万歩程度までなら)1日あたりの歩数が多いほど、死亡リスクと心血管疾患のリスクが低下することを発見しました」とオーストラリア、シドニー大学の疫学者で、同研究の著者の一人であるマシュー・アーマディ氏は言う。 「1日1万歩は大きな目標ではありますが、そこまでいかなくとも、1日の歩数を増やすために少しでも活動することは、健康を改善し、病気のリスクを下げることに大いに役立ちます」 この研究は、歩くことが心血管リスクと死亡率を下げるという既知の証拠をさらに強化するものだと、米ファインスタイン医学研究所の運動科学者アシュリー・グッドウィン氏は述べている。 氏が特に興味深いと指摘するのは、歩数を増やすことによって受けられる恩恵が、座っている時間が長い人と短い人の間でほとんど変わらないという点だ。 「実にすばらしいことです。この研究結果を見れば、普段どんな生活を送っていようとも、いつもより少し多めに歩くだけで健康上の利益があるということを、多くの人が納得できるでしょう」 これまでの研究では、歩数が多いほど心臓の健康と長寿につながることが証明されていた。それとは別に、1日の中で座っている時間が長いほど心血管疾患のリスクと死亡率が高まることが示されていた。今回の研究では、座っている時間が長い人であっても、1日の歩数を増やせばそのリスクを打ち消せるかどうかが検証された。 アーマディ氏のチームは、座っている時間が長い人と短い人の境目を、1日10.5時間と定めた。座っている時間が1日に10.5時間を超えると、リスクが急激に増えることがデータで示されたからだ。今回の研究では、1日の歩数が2200歩の人たち(歩数が最も少ない人から数えて5%の位置)を基準にして、歩数がさまざまに異なる人々の心血管疾患および死亡のリスクを比較した。