千葉・松戸の聖徳大生、地元の魅力発信 フリーペーパー「まるま」作りに奮闘
千葉県松戸市の知られざる魅力を発信するフリーペーパー「まるま」が好評だ。古くから地域に親しまれる商店や注目のイベントなどの現場を、聖徳大学(同市岩瀬)で美術教育を学ぶ学生が実際に訪ねて取材し、仕上げる。撮影する写真の構図も工夫し、学生ならではの目線で「足で稼いだ情報」を分かりやすく伝えており、見どころも満載だ。来年3月の第7号の発行を目指し、奮闘している。 「まるま」は松戸の「ま」を「丸」で囲み、「松戸の良い部分を紹介する」との思いが込められている。 市観光協会から「松戸駅前の活性化に力を貸してほしい」と依頼を受け、教育学部児童学科の大成哲雄教授がフリーペーパーを提案し、5年前に創刊された。 以来、大成教授のゼミの学生が年1回、7千部を作り、市内の公共施設などで配り、人気を得てきた。 大成教授は「地元のさまざまな人の考え方に触れ、学生の成長にもつながる。紙で作るため、デザインの勉強にもなる」と、発行の意義を強調する。 第7号は3年生11人が担当する。事前に会議を重ね、入念に準備し、全員で手分けしながら取材先を選ぶ。 学生たちは1日、天保10(1839)年創業の老舗呉服店「葛西屋呉服店」(同市本町)を取材した。 真剣な表情で中山晃一社長の話に耳を傾け、「どれくらいの生地を仕入れるのですか」「若者に伝えたいことは何ですか」と、質問を投げかけた。 中山社長は「着物は敷居が高いと感じられるようなアイテムだが、着ると自身の世界が一気に広がる。まずはレンタルや着付け教室で気軽に挑戦し、着こなす楽しさを味わってほしい」と優しく語りかけた。 まるまの「記者」の一人、斎藤春菜さん(20)は「取材を通じ、これまで受け継がれてきた伝統を守りながら、SNS(交流サイト)も使い、『着物の世界の裾野を広げたい』との中山社長の強い思いを感じた」と語った。 その上で「日本人として昔から続くすてきな伝統文化を友達とも共有し、思いをつなぎたい。多くの人に興味を持ってもらえる記事を書きます」と約束した。 12日には地元のドーナツ店を、16日には江戸時代に創業した提燈(ちょうちん)店を訪ね、綿密に取材活動を続ける。(松崎翼)
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