堅守速攻からポゼッションサッカーへ。J2降格も味わった新潟がクラブ初の決勝へ辿り着くまでの舞台裏【番記者コラム】
20~21年はJ1昇格ならずも、新スタイルを醸成
アルベル体制1年目は、前年を下回る11位でフィニッシュ。満足のいく成績ではなかったが、寺川能人強化部長は、確かな手応えを感じていた。「毎日同じ練習なんだけれど、続けていると、こんなにも上手くなるんだな」と振り返ったように、選手たちの足もとの技術が飛躍的に向上。継続性の意義を実感した。 また、パスをつなぐだけでなく、奪われたらすぐに奪い返すというアグレッシブな守備も伴うスタイルには、新潟伝統のハードワークにも通じる面があり「共感できる部分があった」。さらに、翌年の加入が決まった選手からは口々に「新潟のサッカーがやりたい」と言われたそうだが、それは15年から強化部で働いていて初めての体験だったという。そうした実情を踏まえ、寺川強化部長はこのスタイルを今後のクラブの軸にしたいと展望し、指揮官の続投を決めた。 翌21年は、チームのスタイルに沿った補強を展開。今度こそJ1昇格という結果を求め、適応力を重視してチームを編成。結果的に、ブラジル国籍のアタッカーを獲得する新潟伝統の強化は行われず、ベテランの千葉和彦をはじめ、現在も主力として活躍する谷口海斗や藤原奏哉、ルーキーの小見洋太ら、日本人選手9人を迎えた。これが奏功してか、日本人同士、スムーズに意思疎通を図り、キャンプから一気に連係が深まった。 そしてJ2開幕5連勝を飾ると、13試合負けなしで首位を独走。なかでも、J1時代から勝てずにいた東京Vを相手にお株を奪うようなパスサッカーで7-0と圧勝した5節は、変化の象徴と言える一戦だった。 後半戦は一転、対戦相手の新潟対策が進み最終的に6位に甘んじたが(前年からのコロナ禍の影響もありプレーオフは開催されず)、ようやく昇格争いが視野に入ってきた。 「自分たちのサッカーに誇りを持って、貫いてきた。J2でポゼッションサッカーといえば新潟だと言われるチームになった」と胸を張ったのは、J2降格初年度からチームの立て直しに貢献してきた高木善朗だ。 実際この年、新潟のボール支配率は、前年のリーグ5位(55.7%)から1位(61.4%)へとアップしている。
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