インド「ヒンドゥー教の国を脱却」した“民衆の力” 人民党はなぜ議席数を減らすことになったのか
■多様性の中の統一 「民主主義のDNAが機能しインドがヒンドゥー教の国にはならなかった」ことは、建国の父ガンディーや、初代首相ネルーが目指した理想像への回帰を保障するものではない。 インドが多様性を重んじるが故に不安定さを甘受する昔の姿に戻るのか、それとも今までとは異なる形でモディ革命を受けた新たなインドの自画像を模索することになるのか、目が離せない状況となっている。 ベンガルールというインドを内側から知るための小さな窓から見えたのは、変わるインドと変わらないインドの接点で、化学反応の激しい火花を散らしながら今日も前に向かって進んでいる21世紀のインドの縮図だ。
「貧困」は「格差」という言葉に姿を変え、急速な経済発展は、マネーゲームの物語を繰り広げながら国土のあり様と国民の意識を大きく塗り替えている。 5年に一度の総選挙では、宗教や文化の違い、地方と中央の対立を包摂(ほうせつ)する装置として民主主義が機能し、インドを語る「多様性の中の統一」という常套句(じょうとうく)に新たな意味を付け加えていた。
広瀬 公巳 :国際ジャーナリスト