「ミクシィはコミュニケーション屋である」木村こうき新社長に聞く事業戦略
THE PAGE
日本におけるSNSの先駆けとしてその名を知らしめた「mixi(ミクシィ)」。2013年半ばまではSNSの会社だったが、今ではゲームアプリ「モンスターストライク」関連で全社売上高の9割以上を占めるゲーム企業に成長した。モンストの勢いにも陰りが見えるなか、次の一手は? 6月に新社長に就任した木村こうき氏(42)に、今後の事業戦略を聞いた。
スポーツとウェルネスの両分野で新規事業
── ミクシィの強みは? 木村 私たちは自らを、SNS屋でもゲーム屋でもなく、コミュニケーション屋と定義しています。SNSは、離れた人とコミュニケーションできるサービスであり、モンストも1人ではなく、複数の人が対面で遊ぶゲームです。これらで培ったノウハウや技術、従業員の高いモチベーションが強みであり、他社との大きな差別化のポイントです。 ── 商標法違反などの問題を受け、5月にチケット売買仲介サイト「チケットキャンプ」を閉鎖しました。どのような影響が出ましたか 木村 社内では、コンプライアンスとレピュテーションリスクへの意識が高まっています。組織面でも、執行役員制を導入するなど体制を強化しました。チケットキャンプは、チケットの高額転売が問題視されるなど、批判も多い事業でした。今後は、皆さまの声によく耳を傾け、喜ばれるサービスだけを徹底してやっていこう、と肝に銘じています。 ── 今後、力を入れる事業は? 木村 ゲームは、他社の追随を許さないために一番投資を行うべき分野です。モンストを筆頭に、スマホでワイワイと盛り上がれるタイトルの提供や、それらのアニメ、グッズ企画に力を入れます。新しい事業領域として力を入れるのは、スポーツとウェルネスの両分野です。これらは、コミュニケーションサービスのスキル、能力が生かせる分野です。 ── 具体的に、どのような事業を展開するのでしょうか 木村 具体的な中身はまだ明かせませんが、スポーツは、スタジアムなどでの観戦体験をより豊かにするサービスや、スマホで家族や友だちと観戦を楽しめるサービスを検討中です。ウェルネスは、高齢者が友だちと一緒に身体を動かせるコンディショニングジムの展開を構想しています。高齢者における生活習慣病の原因の第1位は、コミュニケーションの断絶だとされていますので、ジムではコミュニケーションの場も提供します。両分野とも、できれば今年度中に事業の実施に向けた実証実験を行いたいと考えています。