「ミクシィはコミュニケーション屋である」木村こうき新社長に聞く事業戦略
「持たない経営」よりも「持つ経営」
──ジムは、利用者と直接対面してサービスを提供するという点で、従来のSNSやゲームとは異なります。これまでの技術やノウハウだけで足りるのでしょうか 木村 従来のIT企業は、不動産などのさまざまなアセットを「持たない経営」の方が身軽で良いとされてきましたが、これからは「持つ経営」が重要だと考えています。たとえば高齢者には、スマホやパソコンがタッチポイント(接点)となる人が、諸外国に比べて少ないと言われています。実際の店舗を持てば、高齢者をはじめ、これまで未開拓だった方々にも接触できる機会が広がります。それが、今後の成長に向けて重要なカギになるでしょう。ただ、店舗を経営するノウハウについては、まだまだ足りません。 ── 足りない点を補うためには、M&Aもありえますか 木村 成長を加速する、あるいは時間短縮につながる良い出会いがあるなら、M&Aを選ぶ可能性も十分ありえます。 ── 新たな事業領域では、競合他社の顔ぶれも変わります。どう戦いますか 木村 私たちは、最強の素人軍団でありたい。素人は、業界の慣習や常識を知らないがゆえに大胆になれますし、そこにコミュニケーションのエッセンスが入れば、勝てます。 ── 5年後、ミクシィはどんな会社だと言われたいですか 木村 コミュニケーションならミクシィ、と言われる会社でありたい。それも、フェイスブックやLINEのようなインフラの提供ではなく、そのインフラ上でコミュニケーションを生み出すコンテンツを提供する会社でありたいのです。コンテンツは消費が早く、常に新しい驚きを提供しなければなりません。作り続けるのは非常にしんどいのですが、当たれば大きいのは、すでにモンストで経験しています。
----- 木村こうき(きむら・こうき)1975年生まれ。株式会社モバイルプロダクション、株式会社インデックスを経て、2008年6月株式会社ミクシィに入社。モンストスタジオ部長、執行役員、取締役、エックスフラッグスタジオ本部長などを経て、2018年6月に代表取締役社長に就任。 (取材・文:具志堅浩二)