「今ドキなクルマより振動も音も大きめですが、ジープはこれじゃないと!」 モータージャーナリストの吉田由美がジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン4xeほか5台の注目輸入車に試乗!
外車の楽しみは、世界の車の味比べ!
モータージャーナリストの吉田由美さんがエンジン大試乗会で試乗した5台のガイ車がこれ! アルファ・ロメオ・トナーレ プラグイン・ハイブリッド、BMW i5 M60 xドライブ、BYDドルフィン、ヒョンデ・コナ 、ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン4xeに乗った本音とは? 【写真21枚】モータージャーナリストの吉田由美さんがエンジン大試乗会で乗った5台の注目輸入車の写真を見る ◆家庭料理的と考えたら 毎年楽しみにしているエンジン大試乗会。エンジン誌らしく、スーパー・スポーツカー、ラグジュアリー・カーはもちろん、各インポーターのイチ推し最新モデルのラインナップは、ほかのどの輸入車試乗会よりも華やか。ホント、ワクワクする~。 しかもリポートするのは現在最前線で活躍中の36名のモータージャーナリスト。刺激になります!(笑)。毎年、SNSなどでこのイベントの発信をすると、必ず「行ってみたい」とコメントが届くので、EPC会員の皆さんの同乗試乗は、嬉しいプログラムですね。今年のお題は「ガイシャはクルマ好きの元気の源だ!」ですが、私の担当車種はEVやPHEVほか、なかなかシブいラインナップ。どう書こうか涙目になりましたが、中国、韓国、イタリア、米国、ドイツの家庭料理的なクルマのラインナップ、と考えたら俄然楽しい!(笑)というわけで今年は世界の車の味比べ。どんな車も楽しくする輸入車パワーです。 ◆アルファ・ロメオ・トナーレ プラグイン・ハイブリッドQ4ヴェローチェ「よりスマートなお味」 アルファ・ロメオはステランティス・グループの中で、フル電動化ブランドに向けて邁進していますが、その第一弾がトナーレ。今までエンジン車のド真ん中(?)というか、電動化には最も縁遠そうなのに……。というわけで、アルファ・ロメオにとって初となり、外部充電システムを備える市販車として登場したトナーレPHEV(プラグイン・ハイブリッド)。ちなみにQ4ヴェローチェは、上級グレードです。ステルヴィオに比べてひとまわり小さなコンパクト・ラグジュアリーSUV。このクラスは人気車種がひしめく激戦区ですが、アルファ・ロメオといえばやっぱり色気が大事。なんと言っても目を惹くのは「モントリオールグリーン」のボディカラー!これはオプションですがヴィヴィッドでほかにはない個性的な色。左側のリアドアガラスとタコメーターの中に同色の電気ヘビ「エレクトロ・ビショーネ」。アルファ・ロメオのエンブレムの蛇の頭がプラグになっている遊びゴコロ。これだけでも楽しくなります。さらにPHEVでEV走行時間が増えたことで、よりスマートなお味になっています。 ◆BMW i5 M60 xドライブ「スポーツ・ブーストが魅力」 キター! 本日ラストはトータル最高出力601馬力、トータル最大トルク795Nm。BMW i5のトップモデル、i5登場! 日本にはプラグイン・ハイブリッド以外、ガソリン、ディーゼル、BEVが導入。自分では見ることができませんが、BMWのアイコン、キドニーグリルが光り、暗くなってもグリルとヘッドライトが圧倒的な存在感をアピール。M専用のカーボン・リヤ・スポイラーも見た目は控えめながら効果は絶大のよう。残念ながら私はその違いが判りませんでしたが。とはいえ、しなやかな足まわりとレスポンスの良い操縦性、安定した走行性能は、四輪接地技術のインテグレーテッド・アダプティブ・ステアリングやアダプティブ・サスペンションなどのお陰。また、10秒間のスポーツ・ブーストが、i5をキャラ変させ、0-100km/hを3.8秒、最高速230km/hにパワーアップ。スポーツ・ブーストは10からカウントダウン形式で何度でも使用可能ですが、電池の減りは速そうなので、ここぞという時の隠し味に。スポーツ・ブーストというスパイスは、さらにi5を魅力的にします。 ◆BYDドルフィン「ナチュラルなお味」 「エンジン」誌の読者は、スポーツカー、エンジン車好きが多いイメージですが、電動車への興味も増えているように思います。今年の試乗会では朝イチでEPC会員と同乗で、会員の方は中国車もBYDもドルフィンも初めてとのこと。まずは車外をぐるりと回りながら一緒に車両チェック。助手席にBYDの資料が置かれていたため後席に座っていただき、電気自動車の話やドルフィン、BYDの話をしつつ、西湘バイパスを駆け抜け、急こう配の箱根ターンパイクへ。ドルフィンは坂道が得意なBEV(電気自動車)なので、ストレス無くぐいぐい上っています。ドルフィンの車名にもなっているようにイルカの鰭をモチーフにしたインナー・ドア・ハンドルやダッシュボードなどの質感、そして回転するセンター・ディスプレイのアイデアに感心しつつ、静かな車内は前後での会話も快適。奥様の愛車としてBEVを検討中という話を聞き、実際にBEVの世界が広がっていることを実感したり、情報交換の時間として、私にとっても貴重なひととき。というわけで、ドルフィンは想像以上にナチュラルなお味でした。 ◆ヒョンデ・コナ・ラウンジ2トーン「日本人好みの味付けに!」 2022年、日本再デビューを果たしたヒョンデは、日本市場にはすべてZEV車(ゼロ・エミッション・ビークル)を導入。コナはBEVとして2台目となるコンパクトSUV。本国ではエンジン車とハイブリッド車もある人気のクロスオーバーSUVで、2023年、韓国で2番目に販売台数が多かったそう。トンがっていたデザインのアイオニック5に比べるとおとなしく感じますが、いえいえコナも個性的! むしろコナの方が洗練されているように感じますが、ウインカーと連動してメーター・ディスプレイ内に表示されるなど、アイオニック5を彷彿とさせる部分もチラホラ。ちなみに試乗車は航続距離が541kmの“ラウンジ”でバッテリー容量は64.8kWh。こちらの価格は489万5000円ですが、399万3000円~という価格も魅力的。サイズ感もよいし、直観的に操作できるのは好印象。さらにパドルで回生ブレーキの強さを変えられ、ワンペダルも可能。またドライブ・モードの制御は日本仕様にセッティングされ、アクセレレーターの踏み始めは穏やかでその後グッと加速という日本人好みの味付けに感動です。 ◆ジープ・ラングラー・アンリミテッド・ルビコン4xe「いざというときに」 同じステランティスのプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)でもこちらは米国を代表する本格SUVブランド「ジープ」。特に日本でも人気なのが「ラングラー」で、見るからにタフで頑丈そうな外観は、やっぱり魅力的です。しかし、弱点は燃費……。その願いを叶えるのが「ラングラー4xe」。エクステリアはガソリン車と同じですが、左前方に「e」の蓋がついた充電口。2リッター直4直噴ターボ・エンジンを搭載し、そこに駆動用のモーターが加わり、全体では380ps、637Nm。EV走行距離は42km。外観はスクエア型ですが、車内も水平基調で、長方形のフロント・ガラスの先に見える世界は広いわけではありませんが、でもこれがいいんです!メーターパネルは2眼式で、中央のインフォメーション・ディスプレイには電池の残量などPHEVならではの表示がありますが、目を惹くのは本格4WDのギアセレクターと、ルビコンの制御スイッチ。今回も使っていませんが、いざという時のお守りに。走るとアンテナがぶるぶるしたり、今ドキなクルマより振動も音も大きめですが、ジープはこれじゃないとね。 文=吉田 由美 (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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