3年前に辞めた会社がブラック企業で、今思えばほとんど「残業代」をもらっていません。今から申し出ればもらえますか?
「残業をしたのに、正当な分の残業代を受け取れなかった」というトラブルは意外と多くありがちです。なかには、以前働いていた会社がブラック企業で、残業代をほとんどもらえなかったというケースもあるでしょう。しかし、残業代請求には、3年間の時効が認められています。時効を迎えてさえいなければ、退職後でも請求は可能です。 本記事では、残業代請求の時効についてと、請求を行う際に用意しておきたい残業代未払いの証拠などについて解説します。
残業手当は所定労働時間を超えた分に対する割増賃金
残業手当とは、決められた労働時間を超えた分に対して支払われる賃金です。残業とは、雇用契約や就業規則などで定められた始業時間から終業時間(休憩時間を除く)以外の労働を意味します。また残業は、以下の2種類に分類されており、それぞれに違いがあることを正しく認識しておくとよいでしょう。 ●法定内残業:1日につき8時間、または1週間につき40時間(労働基準法で定められている法定労働時間)の範囲内で行われた残業 ●法定外残業:1日につき8時間、または1週間につき40時間(労働基準法で定められている法定労働時間)を超過して行われた残業 雇用契約や就業規則などで定められた労働時間が9時から17時で、残業時間が18時までだった場合は法定労働時間の8時間の範囲内での残業となります。1時間の法定内残業を行ったことになり、所定の割増賃金の受け取りが可能です。なお、法定内残業に対する割増賃金は一律ではなく、就業規則などで定められています。 残業時間が19時までになると、法定内残業が1時間、法定外残業は1時間となるため、割増賃金(所定の賃金に一定の割合を乗じた金額)が支払われます。 ■原則として1分単位での勤怠管理が義務付けられている 残業手当は、10分や15分から発生するといったことはありません。労働基準法第24条(賃金の支払)でも「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められているからです。勤怠管理は原則として、実際の出勤時間から1分単位で行われています。 勤務先が残業時間を1分単位で管理していない場合は、労働基準法違反となって第120条1項により、30万円以下の罰金の対象になります。