近づく「1ドル=160円」遠のくアメリカ利下げ…介入はあるのか
円安ドル高に歯止めがかからなくなってきた。日銀の金融政策決定会合後、日米の金利差が開いた状態が続くとの見方が強まって、円の下落が加速した。外国為替市場の円相場は、26日、一時1ドル=158円台半ばまで値下がりし、160円の節目が近づいてきた。 【画像】4月26日、10年物国債の利回りは一時0.930%まで上昇
会合2日目に2段階で加速した円売り
日銀会合の2日目となった26日、円売りの流れは2つの段階を経て加速した。 まず円の値下がりを促したのは、決定内容の公表文だ。午後0時半前に「当面の金融政策運営について」とする文章が公表されると、市場関係者は、国債買い入れをめぐる文言に注目した。今回の会合では、政策金利は現状維持が見込まれていたなか、大規模な国債買い入れ減額に向けたシグナルが出されるかに関心が寄せられていたからだ。 日銀が買い入れを減らす方向への動きを見せれば、債券の利回りが押し上げられ、円相場が円高方向に振れる材料となる。実際、午前の債券市場では、減額検討への思惑から、長期金利の代表的指標である10年物国債の利回りが一時0.930%にまで上昇していた。 こうしたなか、公表された文面には、国債の買い入れについて「3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施する」とだけ記された。前回3月会合の公表文では、「これまでとおおむね同じ程度で買い入れを継続する」と記したうえで、「足もとの月間買い入れ額は6兆円程度」としていた。 減額についての言及がなく、買い入れ方針が維持されたことで、国債購入縮小への動きに身構えていた市場では、円高方向への揺り戻し材料はないと受け止められ、1ドル=155円台半ばで取引されていた円相場は、決定内容公表後10分ほどで156円台へと円売りが進んだ。 次に、円安が加速するきっかけとなったのは、午後3時半から植田総裁が臨んだ会見での発言だ。「基調的な物価上昇率にここまでの円安が今のところ、大きな影響を与えているということではない」と述べたうえで、「円安の基調的な物価上昇率への影響は無視できる範囲なのか」との記者からの問いかけに対し「はい」と答えた。一方で、「無視できない大きさの影響になれば金融政策上の考慮あるいは判断材料になる」と話した。 いまの円安進行は、長い目で見た物価全体の実力には大きく影響しておらず、金融政策で対応するかを考えるのは影響が無視できなくなった段階だという内容の説明だととらえることができるが、植田総裁の発言を注視していた市場では、円安をけん制する言いぶりではなかったとして、円売りの流れが一段と強まり、それまで156円台近辺で推移していた円相場は、会見中に、156円台後半にまで下げ足を速めた。