驚きの共有空間「ピーススタジアム」を通して専門家が読み解く、長崎スタジアムシティの全貌
意外とシンプル? 資料から読み解く専スタとしての機能
ピーススタジアムは長崎スタジアムシティの各施設の中核となるサッカー専用スタジアムで、観客席数は約2万席、2層の観客席スタンドからなります。
まずは観客席と建物の構成です。階数で言えば1階から3階までが下層スタンドで、バックスタンド中央とコーナー部分はテラスシートになっています。メインスタンド裏には選手関係や運営諸室があり、残り3方のスタンド裏に1階:駐車場、2階:飲食店が建ち並ぶフードホールやトイレなどサービス機能を持たせたコンコース、3階:スタジアムを一周できるコンコースになっています。
上層スタンドは主にメインとエンド側の3方のスタンドに分かれていて、建物外側の外部階段でアクセスします。メインスタンド最上部はスイートボックス、テラス状のラウンジシートが設けられたVIPエリアです。北西と南東のコーナーには大型ビジョンがあり、北西側のビジョン下に中継用スタジオがあります。バックスタンドは全面に「スタジアムシティホテル長崎(以下ホテル棟)」の壁面が立ち、ホテル側からアクセスできるベランダ席とラウンジエリアになっています。またガラス屋根ごしになるものの高層部のホテルからもグラウンドを見下ろすことができます。
バックスタンドのホテル棟が特徴的ですが、サッカー専用スタジアム単体として見てみると、2層スタンドのきわめてシンプルな構成で、近年の一般的な公共スタジアムとそう変わらない印象を受けます。ほかのJリーグスタジアムを見てみると、全周が壁と屋根で覆われた「サンガスタジアム by KYOCERA」や翼を広げたような屋根が特徴的な「エディオンピースウイング広島」などシンボリックなスタジアムが建てられる中、シンプルすぎるくらいシンプルなスタジアムとなっています。
スタジアムが地域の居場所に? 日常利用の決め手となる運営手法
ここまでの説明はメディア報道や公表資料などから読み解くことができるピーススタジアムです。これが実際に訪れると印象は一変します。 筆者が現地にうかがう機会を得たのはつい先日。日中の仕事を終えて長崎に到着したのは夜10時をすぎた頃、今日はスタジアムを外から見て明日の朝また来よう、と思ってスタジアムに訪れたところ階段が閉まっていません。いいのかな?と思いながらコンコースに上がると普通にスタジアムが開いてます、なんなら普通にコンコースを人が歩いています。