服飾ディレクター・岡本敬子さんの【土地の思い出と共に心に残る、旅先での一期一会】
【買ってよかった2024 クロワッサンの太鼓判! 旅先の逸品部門】伝統食やローカルフード、工芸品などに出合うのは旅の醍醐味。旅好きの嗅覚で見つけたお気に入りを聞きました。
岡本敬子(おかもと・けいこ)さん 服飾ディレクター 自身のブランド「KO」、東京・千駄ヶ谷のセレクトショップ『pili』のディレクターを務める。著書に『私の定番』など。
(鹿児島)『田中蒲鉾店』のさつま揚げ
友人が多く、夫の仕事の関係でも訪れるようになった鹿児島は、私の第2の故郷のような土地。ここを拠点に、九州各地へもよく旅行しますが、今回は、ご縁がつながって今は東京との2拠点生活をしている鹿児島県のおいしいものをご紹介したいと思います。 鹿児島では、さつま揚げのことを「つけあげ」と言って、人それぞれ贔屓のお店があります。お店によって味わいが少しずつ違うものなんですね。私もいろいろなところのを食べてみて、いちばん気に入ったのが、友人が連れて行ってくれた「田中蒲鉾店」のもの。1943年の創業当時からの製法を大切に受け継いでいて、ミネラル豊富な天日塩、喜界島産の粗糖など、材料にもこだわっているそうです。どちらかというと甘めの味のさつま揚げが多いなかで、こちらのは甘すぎないところが好き。魚のすり身本来のおいしさがしっかり感じられます。 鹿児島県姶良市加治木町港町33 TEL.0120・19・2218
(鹿児島)『まるはちふくれ菓子店』のふくれ菓子
鹿児島には黒糖を使った名物が多いのですが、ふくれ菓子もその一つ。小麦粉、黒糖、重曹などの生地をせいろで蒸しあげたお菓子です。鹿児島だけではなく宮崎など九州南部の郷土菓子で、昔は家庭で作られていたそうです。蒸してふっくらと膨らむところからこう呼ばれているのでしょう。 「◯八(まるはち)」の屋号が目印のこちらは、そんなふくれ菓子の専門店。プレーンに生姜、落花生など味のバリエーションも豊富です。ちなみに私が好きなのは、けせん(シナモン)、黒砂糖、ココア。地味で素朴ではありますが紅茶やコーヒーにもよく合いますし、小腹が空いたときにちょうどいい、ほっとできるおやつです。 重曹のほかに添加物を使っていないので、日が経つとかたくなってしまいます。そんなときは蒸し器で蒸し直したり、オーブントースターで少し焼き目がつくくらい焼いて食べてもおいしいです。 鹿児島市金生町7・21 TEL.099・227・5112