風呂場に富士山や浜名湖「日常に絵が溶け込んでほしい」老舗銭湯で「ペンキ絵」復活 作業は1日で完結
静岡放送
町から消えつつある銭湯ですが、「銭湯文化」を守ろうと若者たちが動き出しました。静岡県湖西市にある創業145年の老舗銭湯に、復活したのは、銭湯の壁一面に描くペンキ絵です。 【写真を見る】風呂場に富士山や浜名湖「日常に絵が溶け込んでほしい」老舗銭湯で「ペンキ絵」復活 作業は1日で完結 湖西市新居町の銭湯「みどり湯」で11月20日、昔ながらのペンキ絵の制作風景が公開され、50年ぶりに復活しました。 「ペンキ絵の公開制作」。企画したのは、関西などで10軒の銭湯を運営している「ゆとなみ社」。はけを手にするのは、滋賀県の絵師・山本奈々子さんです。 <ペンキ絵師 山本奈々子さん> 「去年の年明け、2月ごろに『みどり湯』を見に来た時に、『富士、描きたいな』と思って決めた。ペンキ絵は1日で終わらせる早描き文化なので、1日で終わらせられるように頑張る」 「ゆとなみ社」代表の湊三次郎さん。18歳まで浜松市で生活をしていました。 <ゆとなみ社 湊三次郎代表> 「地元の銭湯が無くなっていく中で、何かしたいなという思いがずっとあって、今回のイベントに至った」 みどり湯は明治12年創業。青山勝さんは4代目で、妻のみさ子さんと営みます。 <「みどり湯」店主 青山勝さん> Q. ここにおいてあるシャンプーとかは? 「これみんなお客さんの。この桶は和歌山の人、カツオ追ってくる漁師たち。来てくれれば、カツオがもらえてうれしかった。銭湯は段々少なくなってきて、若い人は風呂の入り方も知らないし」 老朽化などを背景に年々減少する銭湯。静岡県内では、ピーク時の昭和36年に319軒ほどありましたが現在は9軒、「昭和の面影」は消えつつあります。 「ここから下が浜名湖」 「浜名湖?」 「浜名湖っぽいもの(笑)」 朝9時から始まったペンキ絵の制作は夕方まで続きました。縦約1.9メートル、横約9.8メートルの壁に白富士や浜名湖。新居の住民たちもこの日を心待ちにしていました。 <ペンキ絵師 山本奈々子さん> 「日常に絵がとけこんでいって、絵を見ても何も思わなくなるくらい溶け込んでほしい」 <ゆとなみ社 湊三次郎代表> 「地域の人たちの憩いの場だったので、引き続きその場所が長く続くようになってもらえたらうれしいです」 青山さん夫婦は「すばらしい。湊くんのおかげです。全部。感謝します」「50年ぶりにみてやっぱり絵がある方がいいな」と感激した様子でした。
静岡県内から消えた「ペンキ絵」の復活。若者たちの思いで銭湯文化は令和にも引き継がれます。
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