接着剤ではなく「熱」で修理。樹脂素材を知って最善の補修を目指そう
金属部品の修理再生以上に、実は、簡単なようで難しいのが、プラスチック樹脂部品の修理である。欠落部分の再生や機能部品の修復はもちろん、いずれのケースでも「強度」が確保されなければ、再びまた同じ状況=壊れてしまうのが関の山だろう。ここでは、代表的プラスチック部品の修理再生にチャレンジしてみよう。この手法を知れば、樹脂部品の修理再生が楽しくなるかも……!? 【画像】樹脂部品の修理再生作業をギャラリーで見る(14枚) 文/Webikeプラス たぐちかつみ
分解したらこの状況……メンテ「あるある」ですね
エアエレメントカバーの締め付けボルトを緩めたら、締め付け部分が分割されて外れてきた……、などと言った経験、ありませんか?割れてしまった部分が欠損紛失しているのなら、複製修理しなくてはいけないが、破壊部品が残っていたのなら、接着修理できないこともない。
電線修理用「はんだごて」と「専用リペア機器」の使い分け
割れた部分の破片が残っているのなら、接着や溶着で修復は可能だろう。ただし、締め付け部などでは強度が必要になる。そんな箇所の修理は接着剤を頼らず、ハンダごてで溶着修理するのが良いこともある。工具ショップのストレートから発売されているプラスチックリペアキットは、バイク部品に使われている樹脂マテリアルなら、概ね使えるオールマイティなところが魅力の商品。付属のホチキス状の芯(SUS製溶着ピン)を熱して割れた患部をブリッジ接着することで強度も高まる。 ここでは、プラスチックリペアキットを利用するが、その前に、割れてしまった部分を仮接着のためにハンダごてを利用した。破片を保持しながら破断部を溶かして溶着すれば良い。作業前の部品は、必ず脱脂洗浄しよう。ハンダごてを利用するときには、熱し過ぎて樹脂部品を炭化させないのがコツになる。リペアキットの芯はそのまま利用するのではなく、患部形状に合わせて「曲げ」てみよう。応用修理が良い結果へとつながるのだ。
補強の芯=骨を埋め込むことで再発を防止
溶着ピンの両端をラジオペンチでつまむことで、芯の形状を簡単に曲げることができる。リペアキット本体先端の熱源ピッチに合わせて、ピンアーム側も曲げよう。反対側の破断部は、通常のストレート形状でいけることがわかった。幅広部分を修理する際には、このホチキス芯を複数並べるように修理することで、強度はさらにアップする。患部は幅が狭く薄い部品なので、一番細い芯を2個使って修理してみた。1個はラジオペンチで曲げて接合部分をカーブ形状に合わせた。 溶着作業そのものは、僅か数秒だった。リペアキット本体先端は電極になっていて、溶着ピンに電気を流すことで加熱し、その熱を利用して樹脂部品を溶かしながら、芯を内部にめり込ませていく。コントローラーのボリュームで加熱状況を調整しながら、本体レバーのスイッチを押し続けること、僅か数秒で樹脂が溶け始める。そのタイミングで芯を押し付けてめり込ませて補修するのだ。