孫文の歴史的演説から100周年…トランプ新時代に高まる「大アジア主義」の再評価
孫文没後100周年
写真出典:日本中国友好協会兵庫県連合会公式サイト/孫文「大アジア主義」演説を南京で授業する/ “もうダメ”かもしれない…既存政党への不満が高まる中、権力闘争に明け暮れるドイツ 今日からちょうど100年前の1924年11月28日、孫文は日本の神戸で「大アジア主義」をテーマとする演説を行いました。上の写真は、会場となった神戸高等女学校の講堂で孫文が2000人を超える人々に演説しようとする光景です。右から2人目が孫文です。 この演説から104日後の1925年3月12日に孫文は中国の北京で「革命は未だ成らず」と言い残し享年58歳で客死したので、「大アジア主義」演説は孫文の日本人に対する最後のメッセージとなりました。しかし演説のテーマである「大アジア主義」の英語訳が“Pan-Asianism”であるとおり、日本人も中国人も含む全てのアジア人に向けたメッセージでした。実際、「大アジア主義」演説で孫文はこう話しています(以下、孫文の演説からの引用は《………》の形で記します)。 《古代アジアには、哲学的、宗教的、論理的、産業的な文明があった。アジアの国々や民族が次第に退化し弱体化し、一方でヨーロッパ諸国が次第に資源を開発し強大になったのは、この数世紀のことにすぎない》
経済データと孫文の主張を突き合わせてみる
孫文の主張を経済データと突き合わせてみましょう。下のグラフは、西暦1年から孫文が「大アジア主義」を演説した1924年までに、アジア諸国合計、ヨーロッパ諸国合計、アメリカ合衆国(以下、「アメリカ」と略)のそれぞれの国内総生産(gross domestic products, GDP)の世界全体に占める割合が、どのように推移したのかを描いたものです。 GDPは毎年の経済活動の水準を金額で示した指標です。イギリス人の経済学者アンガス・マディソンが半生を捧げて作成した超長期データ“Historical Statistics of the World Economy: 1-2008 AD”を用いました。 1世紀から10世紀までアジアのGDPは世界全体の70%以上を占めました。一方、ヨーロッパは16%から9%へ低下しました。ローマ帝国の繁栄はアジアの繁栄と比べると小さなものだったのです。11世紀からヨーロッパが次第に経済成長するのに伴い、アジアが占める割合は次第に低下しました。