孫文の歴史的演説から100周年…トランプ新時代に高まる「大アジア主義」の再評価
孫文「大アジア主義」演説から100年
ここで時計の針を一気に進め、孫文が神戸で「大アジア主義」を演説してから100年後となる2024年までの推移を見てみましょう。アンガス・マディソンのデータは2008年で終わっているので、それ以降は国際通貨基金(IMF)のデータ(購買力平価換算GDP)および予測(2023年、2024年)を(非常に大胆に)接続しています。 孫文「大アジア主義」演説からちょうど100年となる2024年、アジアのGDPが世界全体に占める割合は58%と予測されるのに対し、アメリカは16%、ヨーロッパは13%だと予測されています。アメリカとヨーロッパとを合計してもアジアの半分の水準であり、演説が行われた1924年の水準より小さくなっています。一方、アジアはヨーロッパ諸国やアメリカがアジアを侵略する以前の1820年の水準に迫っています。
世界経済の重心は「アジア」へ
西暦1年からの推移を見ると、孫文「大アジア主義」演説から100年が経ち、アジアとヨーロッパ・アメリカの立場は完全に逆転しています。アジアは台頭して巨大となりつつあり、ヨーロッパとアメリカとは退化し弱体化しつつあります。 世界経済の重心はアジアへ移動しています。 実際、「世界最大のシンクタンク」と呼ばれる経済開発協力機構(OECD, 本部フランス・パリ)の予測(2023年12月発表、2024年3月改訂)によると、中国、インド、インドネシア、日本の4カ国の購買力平価換算GDPの合計は、2060年に、アメリカとユーロ圏との合計の2倍を超えます。 しかし、アジアが経済活動の規模でヨーロッパとアメリカとを圧倒しても、「アジアの世紀」は到来していません。1950年頃までに確立したアメリカ中心の世界秩序は綻びながらも存立しており、アメリカの国内通貨であるドルがそのまま国際通貨としてアジアでも流通しています。アメリカとヨーロッパとは今もアジアへ干渉しています。 この点に関して、孫文は「大アジア主義」演説で、次のとおり警告しました。また、孫文は、こうも述べました。