子育てで不機嫌になるのは“間取り”が原因?「子ども優先」の家選びをプロがおすすめしない理由
日本の住まいの満足度は33%……不満の理由は”間取り”でした。一見すると、おしゃれで素敵そうに見える間取り。でもそこには大きな落とし穴が隠れていることも。住んでみないとなかなか見えてこない隠れた暮らしにくさ。『この間取り、ここが問題です!』では、いままで3000件以上の間取りを診断してきた一級建築士・船渡 亮氏が、25の具体的な間取りからその問題点を指摘。より住みやすい間取りを提案します。 【実際の写真を見る】辻希美「使わない家電、広すぎる玄関…… 1年住んでわかったわが家の【こうすればよかった】」
「機嫌よく子育てできる間取り」を目指す
日本人既婚者の91%は持ち家という調査結果があります(「令和元年版高齢社会白書」内閣府)。 60歳以上を対象とした調査のため、現在の子育て世代にそのまま当てはめることはできませんが、既婚者の持ち家率は高いという実感はあるのではないでしょうか。 購入のタイミングで最も多いのが「妊娠・出産」と「子供の入園・入学」です。アパート住まいだと子供の泣き声や足音で迷惑になる、入園・入学後の引越しは学区が変わるのでかわいそう等が理由となります。 このように子供をきっかけとした住宅購入が多いため、注文住宅・リフォームの施主が、「子育てしやすい間取り」にしたいと思うのも当然と言えます。では「子育てしやすい間取り」は何を参考にすればよいでしょうか? 私たち夫婦もお世話になった保育園・幼稚園は「子育てしやすい間取り」のヒントがたくさんありました。 ・子供用の小さな便器 ・園児の様子がわかる開放的なトイレ ・園児が使いやすい高さの手洗い器 ・園児が上りやすい階段 ・園児が楽しめる秘密基地 これらを採用すれば子育てしやすくはなりますが、その消費期限は極めて短いです。 身長は1歳児から小学1年生になるまでに1・5倍程度、伸びます。2歳時でアンパンマンが大好きだった男の子が、4歳時で仮面ライダーにハマり、小学生でユーチューバーに夢中になります。子供は心身ともに日々成長・変化し、確実に大人に近づきます。家づくり期間中など一時期の子供にフォーカスして計画すると、入居後数年は快適だとしても、成長した子供にとっては「暮らしにくい間取り」になることもあり得ます。 では、子育てをまったく考慮しなくてよいのかというと、そんなことはありません。子育てはかけがえのない経験ですが、負担やストレスを感じるのも事実です。それによって夫婦・家族関係に悪い影響を与えてしまう、といったことは避けたいですよね。 「子育てしやすい間取り」というと「(一時期の)子供にとって快適な間取り」と考えがち ですが、そうではなく「親が機嫌よく子育てできる間取り」を目指すべきだと私は考えます。親の機嫌がよければ、子供にしっかり向き合う精神的な余裕を持てます。 今回は、子育ての負担とストレスを減らす間取りについて、事例を交えて解説していきます。