イングランド戦で代表デビューのフッカー原田衛が体現する超速ラグビー「速く考えて、速く集団的に動いたら…チャンスはあると思います」
原田衛は正直だ。 「えーと、まだできるのに、何でやろう? …とは思いましたけども」 【動画】BL東京が初優勝! リーグワン決勝ハイライト 本人がこう漏らしたのは、副将を務める東芝ブレイブルーパス東京主催のオンライン取材でのことだ。 今季のリーグワンのレギュラーシーズンが始まって間もない頃だった。開幕直前にその年度限りの引退を表明した、堀江翔太について聞かれていた。 原田と同じフッカーのポジションで、日本代表として4度のワールドカップに出たレジェンドのリタイアへ、ひとまず「まだできるのに、何でやろう?」と触れる。 ここからは、敬意を表す流れで自身の初代表への思いも率直に吐露する。 「まぁ、正味、言うと、安心というか、ライバルがひとり減ったというか。次に、行きやすくなったというのは率直な感想で。…ただ、それは置いておいて、これまで4大会、ワールドカップに出場している堀江さんのことは尊敬していますし、凄いと思います」 実質1年目の2022年度から名門のレギュラーだった原田は、以後、クラブにとって14季ぶりの日本一に喜ぶ。副将として、堀江のいた埼玉パナソニックワイルドナイツを下すのだ。 そしてこのほど、25歳で日本代表へ名を連ねた。 6月22日には東京・国立競技場で、イングランド代表とぶつかる。昨秋のワールドカップフランス大会で敗れた強国だ。その大会は日本代表が予選プールで敗れた傍ら、イングランド代表は3位に終わっている。 今度のビッグマッチで、原田は2番をつけ先発する。念願が叶ったか。否。かねてこの調子だ。 「日本代表については、選ばれるのと勝つのをセットで考えていた。日本代表を目指して始めてから、ずっとそう考えています。それは大学1年生くらいですかね」 身長175センチ、体重101キロの身体は頑丈で、防御の壁にぶち当たる突進、走者に刺さるタックルで魅了。防御の隙間へ駆け込みながら味方のパスをもらい、すり抜ける動きも得意そうだ。 リーダーとしてのキャリアもある。兵庫県出身ながら神奈川の桐蔭学園の中学に一般入試で入り、内部進学した高校では全国優勝を争うラグビー部で主将となった。高卒後に9月入試でパスした慶應義塾大学のクラブでも、最終学年時に船頭役を担った。ブレイブルーパスなどの関係者によれば、今度の代表チームでもリーダー候補に名前が挙がっていた。