分娩まひで右腕が不自由なママ。6人の子どもたちと夫と過ごす中で見つけた人を笑顔にする仕事【体験談】
似顔絵の仕事に専念し、お店も出すことに
――2021年に似顔絵の仕事に専念されたからは、どんな生活を送っていますか? SUZU 似顔絵を描く自分のお店も出しました。最初は出店するより作業場が欲しかったんです。自宅で描いていると子どもの相手をしながらになるからメリハリがつきませんでした。 仕事で使う油性ペンも子どもがおもちゃに使って、その後ふたを閉めなかったりするので、いざ絵を描こうとすると乾燥してスカスカになっていて色が出ないこともありました。 コロナ禍だったから子どもたち全員がずっと家にいて「ママ遊んで」と言ってきて、仕事に集中できないなどで、ちょっと頭がパンクしそうでした。 お店を出したのは、ちょうどいい物件を見つけたのも大きなきっかけとなりました。自宅から車で10~15分くらいの、大通りから少し入った立地で、家賃もちょうどいい感じでした。目の前に信号があるから、車が止まったときに目につきやすいんです。人が気軽に寄ってくれそうな場所だったから、ただ作業場だけにするのはもったいないような気がしました。せっかくだったら似顔絵のお店にして、お客さんに来てもらえるようにしたいと思ったんです。
毎月300~400件以上の似顔絵を描く日々。忙しいけれどお客様の喜ぶ顔を見るのがやりがいに
――現在は似顔絵のお店を中心に活動しているのでしょうか? SUZU それが、2023年2月に第6子を妊娠していることがわかったんです。つわりなどで体調が悪すぎて去年1年間はほとんどお店に行けませんでした。11月28日に帝王切開で出産したのですが、その後も肥立ちが悪かったんです。少しずつお店を再開したのが2024年の2月くらいです。この4月から6番目の子を保育園に入れたから本格的に取り組もうと思ったのですが、上の子どもたちが熱を出すなどバタバタしています。 ありがたいことに、似顔絵ケーキの仕事はずっと受注してもらっていて、1カ月に300件から400件の依頼があります。 仕事を受けているケーキ屋さんは「SUZUさんだけにお願いしたい」とずっと言ってくれているんです。その思い、期待に応えたくて…。私の描いた似顔絵で喜んでくれる方がいると想像すると、とてもやりがいがあるし、うれしいです。 お話・写真提供/SUZUさん 取材・文/齋田多恵、たまひよONLINE編集部 まひした右手で絵を描くのはとても難しいのではないかと思います。SUZUさんが幼いころからSUZUさんの母がリハビリに取り組ませようとしてくれたおかげなのでしょう。オンライン取材中、SUZUさんは右手と左手を見せてくれました。筆記用具をどうにか持てて、テーブルの高さぐらいのところでの小さい範囲なら動かせるという右手ですが、左手と右手では大きさがひとまわりほども違いました。6人の子どもたちを育てながら描くSUZUさんの似顔絵は、たくさんの人を笑顔にしているに違いありません。 「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。 ●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。 ●記事の内容は2024年5月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部