「秋の紅白戦は意味ない」とはや真骨頂 阪神・岡田オーナー付顧問の辛辣な批評に傾聴せよ 鬼筆のスポ魂
つくづく野球に関しては本音でしか話せない人だ。遠慮会釈などなく、どこまでも正直だ。2年契約の任期を満了し、今季限りで退任した阪神・岡田彰布前監督(66)が「オーナー付顧問」就任の席で発した言葉に「やっぱり岡田さんは岡田さんだ」と思った。 【写真】秋季キャンプでの紅白戦後、佐藤輝明の打撃練習を見守る藤川球児監督と鳥谷敬氏 ■「何を評価すんの?」 「最初っからある程度、強いチームを作っとかなアカン。ファンが『今年はまた行けそうやな』と思うチームを作る。全然アカンのに、優勝優勝言うてもしゃあないで」 藤川球児新監督(44)に早速、注文をつけた岡田氏は、高知・安芸タイガースタウンで1日から行われている秋季キャンプを指してこう切り出した。 「秋に紅白戦なんか俺は、全然意味ないと思うけどな…。何を評価すんの? (来年)2月になったら(秋季キャンプのことは)忘れてるよ」 確かに岡田氏が15年ぶりに阪神監督に復帰した2022年以降、2度の秋季キャンプで紅白戦は一度も組まなかった。理由は本人が言っている通りだ。「この時期は自分なりに足りないことができるから、一番いい時期じゃあないか。俺がなんで実戦しなかったって言ったら、俺ら(首脳陣)は楽やから。見てるだけで楽やん。コーチ楽させたらアカン」 ■技術を磨く時期 シーズン終了後で選手の体が出来上がっている秋は、各コーチと二人三脚で個々の技術力を磨く時期。チーム全体の動きやバランスを見る時期ではない…という理由などから、紅白戦を組まなかったのだろう。 しかし、藤川新体制となった今回の秋季キャンプでは3日、9日、16日と3度も紅白戦が組まれている。岡田氏は体調不良で大阪市内の病院に約1週間、入院していたから、現場の動きに疎い面があるのを差し引いても、新体制への配慮や気遣いが多少なりともあれば「全然意味ない」とは普通は言わない。いくら藤川新監督が就任会見で岡田氏のことを「恩師」「おやじ」と立てようが、野球やチーム作りに対する基本的な考え方や信念が〝外れている〟と思えば、岡田氏は歯に衣(きぬ)着せず本音を話す。そうした姿勢は若い時から一貫しており、早くも岡田氏の真骨頂が飛び出したと思えばいい。 阪神の粟井一夫球団社長は岡田氏の今後について「(過去には)横文字が多かったし、動きやすい名前がいいかなと。厳しい解説や評論は岡田さんの持ち味ですから。こちらも期待しているし、それで選手も発奮してくれたら」と話した。藤川新監督は就任会見で監督としての理想像を問われ「岡田監督です。岡田監督が作った素晴らしいチームの流れがある」と敬意を表していた。