UKダンスシーンをけん引するOvermonoが語る「フレッド・アゲイン&リル・ヨッティ、ザ・ストリーツとのコラボ」
エド:ビートの話をすると、俺たちって変わった方法でドラムの音を作るんだ。機材からささいな小さい音を拾ってきて、いくつものエフェクターを通して加工していくんだけど、そうすることによって面白い音ができるんだ。それは普通の音量で聴いたら面白くないかもしれないんだけど、大音量で聴くと威力を発揮するんだよね。それでとても大事にしているのは、ドラムとドラムとの間にある空間に漂っているノイズ。それをさらに加工して、ミニマルなビートの空間にあるテクスチャーにする。普通の人はドラム・キットから音を作るかもしれないけど、俺たちは10個くらいのシンセを使って、いろんな加工を施しながら音を作るんだよ。
――なるほど。
エド:あと「Gem Lingo(ovr now )」ではギター・ペダルをたくさん使っているんだよ。今日ちょっと取材時間に遅れたのは(笑)、楽器屋に行って日本製のペダルを見ていて、いくつか買ってきたせい(渋谷の「えちごやミュージック」に行っていたそう)。それでこの曲では、例えばニルヴァーナがコーラスの音に毎回使っていたものとかスティングが使っていたものとかを使っているんだ。もちろん音は加工しているからそれらのペダルを使っているかは分からないと思うんだけど、もしかしたらファンが音を聴いたときに無意識のところでニルヴァーナを感じるかもしれない。そうやって今と昔がつながると面白い気がするんだよね。
「いくつかの異なる感情の交錯点、狭間」を表現した音楽
――オーヴァーモノの音楽、特に「Good Lies」で鳴っている音楽は、極端に言えば「いくつかの異なる感情の交錯点、狭間」を表現した音楽のように思います。ライブにおいてそれをどのように表現するのでしょうか。
トム:俺たちがスタジオで作っている音楽ってライブのために作っているところがあるんだよ。俺たちのライブは音とビジュアルを組み合わせるんだけど、そこで最高の体験をしてもらいたいんだ。君が指摘してくれたように、俺たちの音楽は「いくつかの異なる感情の狭間」を表現することがキーになっていることは確かだし、それをライブで表現するというのが自分たちの究極の目的なんだよ。