西洋美術を超克する「もの派」レジェンド 80歳の彫刻家・小清水漸さんがめざす世界 一聞百見
しかし、木を削ったり、彫ったりする感触を確認しながら、自分の手を通じて作品を仕上げる身体性は、自分だけのもの。「高価な材料はなくても、木の板一本、石ころ一つでどういう表現ができるかをいつも考えています。美術の制作は身近なものでできるのだから」
80歳になった。
「やりたいこともたくさんあるし、やり残したこともたくさんあります。あとは体力との勝負。昔のように作品を作ることに飢えているというような気持ちはありませんが、もう少しやってみたい」(正木利和)
こしみず・すすむ 1944(昭和19)年生まれ。愛媛県出身。多摩美術大彫刻科に進んだ後、「もの派」の中心的なメンバーとして活動。73(同48)年、関西に拠点を移し、大型国際展などにも参加。京都市立芸術大教授、宝塚大学長などを歴任。2004(平成16)年、紫綬褒章受章。