ボクシング界が7月興行再開を目指す理由…無収入で「そろそろ限界」の経営危機ジムとボクサーを救う
アマチュアボクシングの”ドン”山根明元日本ボクシング連盟会長の退任騒動時に「奈良判定」の風評被害の煽りを受けてしまったことがあり、最強後楽園のスーパーフェザー級で優勝経験のある杉田聖らが所属している「奈良ボクシングジム」も、7日から営業を再開する予定でいたが、休館続行を覚悟している。 同ジムの谷口良知会長は、「緊急事態宣言が延長されるならジムを閉めることも延長しなければならないでしょう」と、苦渋の決断。 同ジムも150人ほどの会員がいて、その月会費が主な収入源だが、家賃やトレーナー、事務員らの人件費などで80万円ほどが毎月出ていく。 「公庫に融資の申請をしていますが、いつ資金を手にできるかわかりません。この状況が続くと、どうなってしまうのか。今は我慢、我慢です。7日から会員さんから今後どうするかの電話を受け付けるのですが、どれだけ退会や休会の電話が殺到するかが正直、怖いです」 ただでさえボクサー人口が減少の傾向にあり、各ジムの会員数も伸び悩んでいる状況で、「本来、4月は一番、入門者が増える時期なのですが、今年は増えるどころか…」と、谷口会長。 ある関係者によれば、「退会、休会が増え、会員数が半分くらいに落ち込んでいるところもある。このまま休業が続けば潰れるジムは、ひとつやふたつではすまないでしょう」という。 JPBAは、すでに10万円の補償金を全ジムに支給したが、窮状を救うところまでには至らない。八方塞がりの状況にあるのが現状なのだ。そして、もっと悲惨なのがボクサーである。JBCでは、選手のヒアリングをスタートし相談窓口を設けた。 他の職業やバイトなどを掛け持ちしながらの兼業ボクサーがほとんどを占めるのがプロボクサーの実情だが、新田事務局長は「選手によってケースバイケースだが、Jリーガーやプロ野球選手と違い、アルバイトをしながらの選手が大半。そのアルバイトが減って生活が苦しい選手もいる。それに対しては、協会、ジムの会長も対応を検討すべき」という。 先日、グリーンツダジムは、所属プロ選手に一律5万円を支給したが、経営が苦しいジムでは、余裕はないだろう。 ピンチのジムと選手の救済。その最大の手立てが興行の再開である。