トランプ次期政権が自動運転規制緩和を検討:マスク氏のEV大手テスラに有利か
自動運転の規制緩和はテスラに強い追い風
ブルームバーグ社は17日に、トランプ次期政権が自動運転の規制緩和を検討していると報じた。これは電気自動車(EV)大手のテスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が求めていた措置だ。マスク氏が、トランプ氏との親密な関係を使って、自社に有利になるような政策を進めるのではないか、との懸念が生じている。 自動運転の実施について、事業者は州ごとに認可を取得する必要があるが、これを見直し、国レベルで規制を統一して手続きの簡素化を進めることをトランプ次期政権は目指していると考えられる。具体的には、公道で走行可能な自動運転車の台数の上限緩和などが検討されているという。米当局は現在、公道で走行可能な自動運転車の台数を、企業ごとに年間2,500台に制限している。この規制を緩和するための立法措置を、トランプ氏の政権移行チームは検討しているという。 テスラは本業のEV販売で苦戦を強いられている。マスク氏は、自動運転をEVに次ぐテスラの主力事業に位置づけている。10月上旬には、ハンドルやアクセルペダルのない自動運転タクシーの試作車である「サイバーキャブ」を公開し、2026年の生産開始を目指す考えを示していた。こうしたテスラにとって、自動運転の規制緩和は業績見通しへのプラスの影響が大きい。 他方で米安全当局は、「完全自動運転システム」を搭載したテスラ車が死亡事故を含む4件の衝突事故を起こしたことを問題視し、同車の安全性に問題がないか調査を進めている。マスク氏はビジネスを阻害するとして多くの規制を問題視しているが、一方で、テスラ車の安全技術についてはなお未熟との指摘もあり、その中での大幅な規制緩和が安全性の問題を生じさせてしまう懸念もある。 マスク氏は新設される米国の「政府効率化省」のトップに就き、政府の規制緩和などを促す立場となる見込みだ。自身のビジネスに都合の良い方向に規制緩和を進める利益相反の問題の指摘も増えている。