シニア猫の「元気ない」「食べない」「吐く」は便秘を疑って【ワンニャンのSOS】
【ワンニャンのSOS】#89 シニアのワンちゃんは便が緩くなりやすいのですが、シニアのネコちゃんは逆に便が硬くなって便秘がひどくなる傾向です。 無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議 悪化すると、たまった便が多くなり過ぎて、自力で排泄できなくなるほどで、結腸が膨らむので巨大結腸症と呼ばれます。その対策を紹介しましょう。 ネコちゃんの結腸には90度近く湾曲する部分がある上、腸管も狭くなるため、構造的に便が引っ掛かったり、停滞したりしやすい。そこに加齢の影響が重なると、巨大結腸症を起こしやすくなります。 その影響の一つは、脊椎変性による神経の圧迫です。それによって神経伝達が悪くなると、腸を取り囲む筋肉の収縮力が低下し、便を押し出す蠕動運動が弱まります。それでたまった便により、筋肉が伸び切ってしまうと、今度は緩んでしまってますます便が停滞することに。パンパンに膨らんだ風船の空気を抜くと緩んだゴムが元に戻らなくなるイメージです。 もう一つは結腸を含む大腸の吸水作用で、停滞した便の水分が吸収されてより硬くなります。そうなると自力での排便が難しい。便が出ないのはもちろん、食欲不振や元気がないといった症状が見られ、ひどいと気持ち悪くて嘔吐します。 診断は簡単で、検査はほとんど不要。下腹部を触診して硬い便に触れ、ゆっくりと動かせたり、押しつぶせたりすれば確定。治療は、獣医師が手袋をして便をかき出す摘便です。その際、蠕動運動を促す薬を併用することもあります。頻発するネコちゃんでも、摘便に慣れると改善する可能性も十分です。 ネットで検索すると、浣腸や手術も書かれていますが、浣腸は便にまみれたお尻を洗うことが必要でネコちゃんのストレスになりやすく、私は勧めません。手術は緩んだ部分を切除してつなぎ直すもので、シニアには最もよくありません。 ■お米やサプリメントで便を柔らかく 飼い主さんが気になるのは、この予防法でしょう。炊いたお米やサプリメントで便を軟らかくするとよいでしょう。サプリは「ラキサトーン」や「キャットラック」で、オリゴ糖がベースですから大量に与えても問題ありません。 シニアのネコちゃんがご飯をあまり食べなくなったら、便の回数をチェックしてみてください。朝と夜の1日2回が理想ですが、1回でも出ていればよいでしょう。その際は、便の硬さチェックも忘れずに。いつもより硬くなってきたら、前述のお米やサプリを検討してみてください。 ちなみに摘便の際、鎮静はしません。蠕動運動が抑えられるためです。摘便の刺激で力み、蠕動運動が進む程度によっては、便がどれくらいたまっているか予測でき、今後の治療方針の目安にもなります。 (カーター動物病院・片岡重明院長)