沢村玲×別府由来「ハッピー・オブ・ジ・エンド」古厩智之監督が名シーンの裏側明かす
――これまでいくつかのシーンについてお話をお伺いしてきましたが、監督のお気に入りシーンを挙げていただくと? 「第8話で、夕闇の中、海の中へと走っていく浩然を千紘が追いかけて抱きしめるシーンでしょうか。びちょびちょになってしまうので、リハーサルでは海に入らず本番も一発撮りだったのですが、2人のおかげで素晴らしいシーンになりました」 ――作品のタイトルであり、第8話のサブタイトルにもなっている「ハッピー・オブ・ジ・エンド」。監督はどのような意味に捉えていますか? 「僕はダブルミーニングなのかなと思っています。いつ死んでもいいと、生きている意味なんかないと思い続けてきた浩然が、最後は千紘と幸せになり、その先を生きていくということ。そして、物語としては終わりなのだけど、これから幸せが始まるということ。最後まで原作を読むとタイトルの意味が分かるところがすてきだなと思い、ドラマでもそう感じていただけたらいいなと、最後にどんとタイトルを出しています」 ――最後に、ファンの皆さんへ伝えたい思いを。 「僕らは誰しも最後は死ぬので、実はめちゃめちゃ孤独じゃないですか。でも、そういうことを考えると頭がおかしくなってしまうので、普段は考えずに過ごしていますが、この作品に出てくる人たちは死を考えないといけない人たちなんですよ。つい考えてしまう人たち、というのが正しいのかな。原作は、そんな人たちが誰かの隣にいることはできるのだろうかという問いと、その回答を描いた素晴らしい作品です。でも、そのテーマを生きた人間が、さらには20代半ばの男の子が演じるというのは非常に難しかったはずです。2人ともアプローチの仕方は違いますが、よくその問いに飛び込み、答えを見つけてくれたなと思います。ぜひ、そんな2人の姿を見届けていただけたらうれしいです」
【プロフィール】
古厩 智之(ふるまや ともゆき) 1968年11月14日生まれ。長野県出身。近作は、映画「のぼる小寺さん」(2020年)、「PLAY!~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~」(24年)、ドラマ「飴色パラドックス」(MBSほか/23年)、「癒やしのお隣さんには秘密がある」(日本テレビ/23年)など。
【作品情報】
ドラマ「ハッピー・オブ・ジ・エンド」 FODにて全話独占配信中
取材・文/片岡 聡恵