5類移行から1年。コロナってどうなったの? コロナってなんだったの?
ただし今のところ、大きな流れとしては、感染力は強いが比較的症状が軽いオミクロン株の系統が続いており、突如としてデルタ株が登場して猛威を振るったときのように、ウイルスの病原性が大きく高まるような変異は確認されていない。また、すでに獲得された重症化予防効果に関しては、ウイルスが変異してもある程度は発揮され続けるという。 「もちろん、ウイルスの病原性が突如として高まる可能性はゼロではありませんが、当面、今のような方向でウイルスの変異が続くと考えれば、今後のワクチン接種についても、その目的を『感染そのものを防ぐ』のではなく、『感染時の重症化を防ぐ効果の更新』だとある程度割り切って考えたほうがいいかもしれません。 そもそも、ワクチン接種の本来の目的も重症化の予防にあるので」(佐藤氏) ちなみに、有償となった今年の秋以降の接種については、季節性インフルエンザと新型コロナの2価ワクチン(ふたつの抗原を含むワクチン)の形で希望者に対して接種することも検討されている。しかし、インフルエンザワクチンと比べ、新型コロナワクチンは強い拒否感を持つ人が少なからずいるのも事実。 前出の宮坂氏によると、重症化予防効果も時間とともに少しずつ低下していくため「本来なら1年に1回程度、追加接種を受けて、免疫を刺激することが望ましい」とのことだが、そもそも「もうコロナ禍は終わった」という雰囲気の中、有償のインフル×コロナの2価ワクチンの接種を希望する人がどの程度いるのかが大きな課題となりそうだ。 ■コロナ後遺症はわからないことだらけ コロナ感染の波は、今も周期的に来ているし、ウイルスの変異も相変わらず続いていて、実際にはそれなりに多くの感染者も出ている。だが、社会の中にコロナへの免疫を持つ人が増えて、重症化する人は大きく減り、その結果、以前のような医療現場の逼迫などの問題は起きていないというのが、今の平和を支えている基本的な背景のようだ。 だとすれば、高齢者や一部の基礎疾患を抱える人を除けば、あまりコロナのことなど気にせずに過ごしていけるような気もするが、そこでどうしても無視できない問題がある。 それは、新型コロナに感染した人のうち、およそ1~2割程度が経験するといわれる、コロナ後遺症だ。