なぜ2026年W杯でアジア大陸出場枠が「4.5」から「8.5」に拡大するのか…日本のメリットと是非論
日本に目を向けても、決して歓迎 できない状況がそろっている。 たとえば実施方法が大きく変更されるアジア予選は、日本を含めたFIFAランキング上位国がシードされ、2次予選から登場するシステム自体は変わらない。 AFCの発表によれば、1次予選を勝ち抜いたチームにシード勢を加えた36ヵ国が9グループに分かれて、2023年11月から翌年7月にかけてホーム&アウェイでリーグ戦を実施。各グループの上位2位までの計18ヵ国が最終予選に進む。 カタール大会出場をかけたアジア2次予選を振り返れば、日本はタジキスタン、キルギス、モンゴル、ミャンマー各代表と顔を合わせたグループFを8戦全勝、総得点46に対して総失点わずか2と攻守両面で圧倒し続けて首位突破した。 2次予選が終盤に差しかかったなかで、キャプテンのDF吉田麻也(33、シャルケ)は「個人的な意見」と前置きした上で、こんな言葉を残している。 「この予選方式が正しいかどうかはちょっとわからない。僕たちにできることはこれからもいい試合をして、たくさん得点を取って、この予選方式がアジアの上のチーム、下のチームの両方にとってプラスになるかどうかの問題提起を、AFCへ投げかけていくこと。非常にコメントしづらいことなんですけど」 北中米カリブ海はカタール大会代表を決める上で、メキシコ、アメリカ、コスタリカ、ジャマイカ、ホンジュラスの5ヵ国をあらかじめシード。1次および2次予選を勝ち上がってきた3チームを加えた8ヵ国で最終予選を実施している。 この方式ならば、シード国は最終予選までの国際Aマッチデー期間で、他大陸の強豪国との国際親善試合を介してチーム強化を図れる。世界のなかでのアジアの立ち位置を考えたときに、現状に対して疑問がわいてきたと吉田はこう続けている。 「もちろん下のチームの底上げは大事です。特に東南アジア勢はどんどん強くなっていると個人的には感じますけど、アジアが世界のレベルに到達するのも大事です。世界でアジア勢が結果を出すためには、何をしなければいけないのか。日本だけでなくアジア全体で考えることが、アジアのレベルアップにとって大事だと思う」 結果として、吉田が代弁した日本代表の声はAFCに届かなかった。アジア最終予選へ進出するチーム数こそ「12」から「18」に増えたが、グループそのものが「2」から「3」へ増えたために、必然的にアジアのライバル勢も分散する。