50歳を過ぎたら、本当に必要なことを見極めて余分なものを削ぎ落としていくべき|ユナイテッドアローズ執行役員 山崎万里子さん|STORY
年齢の節目には、記念になるものを購入しています。その10年を潔く生きるための自己投資という感じです。50歳はTASAKIのピアス「バランス」を、40歳ではクロームハーツのウォッチケースをオーダーしました。ウォッチケースはロレックスをクロームハーツでカバーしていて、フローラルモチーフがデザインされた蓋を開けるとフェイスが見えるんです。数あるデザインの中から自分の好みのものを選び、時計に合わせて一つ一つ制作される特別感あるアイテム。私自身のファッションのこだわりが、『部分的に治安を悪くする』。このアイテムも私のファッションにいい感じに悪さやワイルドさをプラスしてくれます。 ――忙しい中も常に学びを進める山崎さん。学んだことを携えて、その先に見ている目標とは? 今年、50歳の私が45歳のときに立てた50歳の目標は「会社を辞める」だったんです。この目標は辞めることではなく、辞めて通用する人になるという意味。まだ会社にいるので、目標は達成できていなくて、今も変わらず私の目標です。 ――辞めて通用する人になるというのは? 私自身のバックグラウンドには会社名、役職名、部署名と大きな看板がカチッと私の背後についています。でも、これはいつか終わる、外される時が来るんです。60歳かもしれないし、その前かもしれない。だから、この看板がいつ取れてもいい状態でいようということ。それが45歳のときに立てた50歳での目標だったんですが、この先もその目標を持ち続けようと思っています。今の私のパフォーマンスと市場価値は、この看板によってできているものだっていうことをよく理解した上でふんぞり返らないこと。その看板がなくなった時に、何もできない人にならないようにしたい。それだけはずっと今も、毎日思っていることです。
――個人として何が出来るのだろうか? ということを考え始めるようになられたということなんですね。 フリーランスになるとか、個人事業主になろうということではないんです。今ね、私と社長と取締役とで、定年退職するメンバーのお祝いの会をやることがあるんです。ここ最近、商品部門の専門職の方で、定年退職される方がいらしたんですが、技術職や生産の方、手に職をお持ちの方って、辞められる時が清々しいんですよね。退職して肩書きゼロになっても、手に職がある。肩書きなんて、そんなもの必要ないんです。こういう人たちは会社に絶対必要だからと言われ、働いてほしいと請われるんです。こういったスペシャリストの方達を目の前にすると、どんどん大きくなっていく会社名と私自身の役職、それは横に置いておいて、私は何ができる人なんだろう、というのを一方で考えておかないといけないなって思わされます。 ――年齢を重ねていく上で誰しもが考えることなんでしょうか。 そうかもしれないですよね。私はもちろん、今置かれている立場としてやるべきことはやります。ただ、やり方のシフトチェンジは必要だと思うんです。若い頃は深夜1時までやっても、翌日のパフォーマンスは落ちなかった。でもその仕事の仕方は5年後、10年後には通用しない。絶対自分がやらなくてはいけないことと、誰かに振るべきことの選別や、無駄なことを削ぎ落とす。すべきことに集中し、短い時間でしっかりとしたパフォーマンス出すためにどうすべきか? は仕事では常に考えています。 人生全体で見ても、やらなくていいことを削ぎ落とすことを意識している気がします。あれもやる、これもやるじゃなくて、もう終わりが見えているので、どちらかというとエンディングに向けて何を減らしていくべきか? を考えています。減らすって少し勇気がいるかもしれない。でも、そこにはマイナスなことは存在しなくて、その作業をすることで自分がやりたいことが明確に見えてくる気がするんです。常に目の前にやってきたことを楽しみながら進んできた私。今度は削ぎ落とした先に、何があるのか! ワクワクしています。 撮影/BOCO 取材/上原亜希子