50歳を過ぎたら、本当に必要なことを見極めて余分なものを削ぎ落としていくべき|ユナイテッドアローズ執行役員 山崎万里子さん|STORY
友人から出産祝いにいただいたタペストリー。息子の名前、生年月日、生まれた時間、体重が刺繍されています。とても素敵で大切にしています。 ――子育て経験者は、記事を読みながら「わかる~」って声が出ちゃってますね。 まだまだあります! 仕事の合間にコーヒーを飲んで、息抜きがてら雑談をする。何か作業を手伝ったりしたら「ありがとう」って言ってもらえる。家ではないことですよね(笑)。改めて、色々な意味で仕事のありがたみを感じました。 ――産後は比較的すぐに職場復帰されたんでしょうか? 3ヶ月ほどお休みしました。産休は労働基準法で48日と決まっているんですよね。産後休暇に2週間の有給をプラスして丸3ヶ月。有給を使用したのは仕事をしたいからではなく、保活を少しでも優位に進められる状況を作りたかったからです。
――職場へと復帰され、仕事と子育ての忙しい日々の中、癒しの時間とは? インプットもアウトプットもしない時間。仕事をアウトプットするのと、そのアウトプットに必要なインプットをすることを常にやっているので、それらを全くしない時間ですね。座禅を組むとか、お風呂でのぼせるとか、無の状態が私にとってすごく必要な時間です。あとは、友人や同僚との食事や飲みに行くこと。そこで、全く仕事に関係なく、プラスにならないような他愛もない、どうでもいいような話をすることも必要かな。 ――お子さんとのお時間はいかがですか? 子どもは私を“無”にしてくれない相手ですね(笑)。今、小学生なんですが、永遠に質問をされ続けます。対応するのは大変ですが、人に説明することって結構頭の整理にはなりますよね。それと、今、彼から質問されているこの疑問に答えていかないと、この子の脳って育っていかないんだろうなって思い、私自身ものすごく頭を使いながら答えています。ある時、息子から「ママはどんな仕事を会社でしているの?」と聞かれたんです。人事と答えたところで、子どもは何をしているかなんてわからないですよね。なので、「どうやったらみんながもっと楽しく生き生き仕事が出来るかなっていうのを考える役割なんだよ」と、私なりに説明を試みてみました。それに対して息子は「あ~それって、世界平和を祈りますって言う人と同じぐらい役に立たない仕事だよね」って。デジタルネイティブで、ある意味知識豊富な息子との会話は時に刺激的です(笑)。 ――結婚、出産を経て、2018年からは執行役員・人事部長にという立場になり、山崎さんが考える、今後行っていくべきこととは? 会社全体としては、アパレル、非アパレルも含めて多くの新規事業を抱えています。キーワードになるのは“成長や挑戦”。その中で、私は人事の責任者として、新しい戦略を担える人を採用することと、会社がやろうとしている戦略に合致するような人材をどう社内から輩出していくかですよね。そのために会社としてはリスキリングなどに時間とお金をかけています。 ――会社としてリスキリングのための制度を設けていらっしゃるんですね。 今までは販売職向けの販売スキル向上のための研修や、店長や課長職向けのマネジメント研修という、現在携わっている仕事に直結したものがほとんどでした。去年からはリスキリング、職能開発に特化したメニューがメインになっています。社内でのコースもあれば、社外で学習していくものもあって、特徴的なのは今の仕事に関係なくていいということです。そして、会社が指名するのではなく、挙手制。自分が何を学びたいか、自分がどうなりたいかなので、自分のキャリア感みたいなものをクリアにするための、キャリアデザイン研修という名の内省するプログラムも実施しています。 ――例えばどんなことをやりたいと希望される方がいらっしゃるんでしょうか? コロナ禍を経て、ネットでの取り置きや予約など、お客様の買い物の仕方の大きな変化を私たちは感じています。その状況の中で、長年店長をやってきた人が、これからの小売の再成長に貢献したいという思いから、物流やデジタルマーケティングを勉強したいという希望がありました。そういった、自分の意思を持ちながらできることを職能開発していくということなんです。 ――山崎さんご自身が学びたいことはありますか? 実は、今年、30歳ぐらいの時に通っていたビジネススクールに再び通いたいと思っているんです。当時は基礎科目を受講しただけなので少々枯渇した感があり、もうワンランク難しい講座を受講しようかと思っています。