自民党総裁選での経済政策論争④:増税策と減税策
2人が防衛増税に反対
自民党総裁選では、増税の是非が争点の一つとなっている。特に選挙戦序盤から注目されたのは、43兆円の防衛費増額の財源を賄うため、既に閣議決定されている防衛増税を実施することの有無についての議論である。 茂木氏は「増税ゼロ」の方針を掲げ、防衛増税と少子化対策を賄う医療保険料の上乗せ徴収に反対している。茂木氏は、経済成長による税収アップや税外収入の増加で財源は十分確保できるとしている。 防衛増税に関して高市氏も、「現状での増税は経済を失速させる。建設国債による対応を自衛隊にも拡大させ、外国為替資金特別会計の評価益の活用も検討する」と主張している。高市氏は、「需要が供給を上回る本来の物価安定目標に向かう形ができるまでは一切の増税をすべきではない」とし、数年間は(すべての)増税に反対する考えだ。 東京新聞のアンケート調査によると、他の候補のうち5人は、防衛増税の見直しに明確に反対している。林氏は、「2027年度に向け、複数年かけて措置する方針を決定済み」と説明する。加藤氏は「防衛力強化を確実に実行するために必要な政策」とする。河野氏は「必要な防衛力増強のための財源は、安定的であるべきだ」とした。 他方、小林氏と石破氏は、防衛増税の見直しに若干の含みを残している。共同通信のアンケートで小林氏は、「その時点での経済状況で判断する」、石破茂氏は「基本的に現行方針を維持するが、増税については不断に検討、見直しをする」とそれぞれ回答している。子育て支援金徴収についても石破氏は、「経済情勢を注視しつつ適切な対応を検討したい」とした。
消費税引き上げには反対
消費税を巡っては、現時点での増税には全員が反対だ。東京新聞のアンケート調査によると、高市氏は、戦略的な財政出動で雇用や所得を増やし「税率を上げずとも税収を増やす」というのが基本的な考えだ。小林氏も「力強い経済をつくり出すことで税収の増大を図る」とする。小泉氏も、消費税増税は「想定していない」とした。 上川氏も「上げるつもりも予定もない」とする。ただし、「現役世代が急減する40年に向けてあらゆる検討を行う」とした。石破氏も「現時点で増税は考えていない」とする一方、「党税調で議論する」と将来の増税に含みを残した。