『光る君へ』周明(松下洸平)の胸に矢が突き刺さるシーンに視聴者最注目 第46話画面注視データを分析
異国の蛮族がついに博多に押し寄せる
3番目に注目されたシーンは20時25分で、注目度77.5%。異国の蛮族がついに博多に押し寄せてくるシーンだ。 「船が動いたぞ! 動いたぞ!」警固所で博多湾を見張る兵が蛮族の動きを察知し、大声で周りに知らせた。大宰権帥・藤原隆家は報告を受けみずから警固所におもむき、部下が示す方向に目をこらすと、多くの船がこちらへ向かってくるのを確認した。すでに志摩では100人もの人々が殺され、400人もの住人が連れ去られている。前代未聞の危機である。このまま蛮族の好きにはさせられない。 文屋忠光(守谷日和)らの活躍で志摩から敵を追い払うことはできたものの、侵略の手が止まったわけではない。平為賢(神尾佑)の言うとおり、異国の賊は対馬から壱岐、能古島と進み着実に博多に近づいてきている。しかし筑前・筑後・豊前・肥前の国守に要請した兵はいまだに集まっていない。限られた戦力でどのように戦うのか、隆家たちの周りには重苦しい空気がただよっていた。
■大宰権帥・藤原隆家の活躍に期待する視聴者の声 ここは、大宰権帥・藤原隆家の活躍に期待する視聴者の注目が集まったと考えられる。 刀伊の脅威は壱岐だけではなく、筑前・志摩にまで及んだ。文屋忠光たちの奮闘で志摩への上陸こそ阻んだものの、人的被害は甚大だった。しかしそんな危機的状況においても、指揮官である隆家は冷静に判断し的確な指示を部下に下す。 「長徳の変」を引き起こした張本人とは思えないほど立派な人物に成長した隆家に、SNSでは、「あの隆家がまさかこんなにいい男になるなんて…」「九州の人々のために先陣をきって戦ってくれた藤原隆家には本当に感謝しないと」「隆家さまがめっちゃ慕われる上司になっているのがステキ」「隆家さまが頼もしくてカッコよすぎる」「この時期に大宰府のトップが隆家だったのはある意味奇跡だったな」と、称賛する投稿が多く集まった。若いころの隆家は「天下のさがなもの」と呼ばれていた。「さがなもの」とはたちのよくないもの、けんかっぱやいものという意味だ。 余談だが、竜星涼といえば、2022年度前期放送のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』のニーニー役でも「さがなもの」ぶりを遺憾なく発揮していた。大宰府に赴任してからの隆家は善政を行い、役人たちの信頼を集めた。隆家の豪放らい落な性格が、内裏よりも大宰府になじんだのだろう。歴史物語『大鏡』でも、隆家は機転がきき、筑後・肥前・肥後といった地元の人々を見事に奮い立たせ、大宰府の役人も一丸となって戦わせたと称賛している。歴史にifは禁物だが、道長(柄本佑)が隆家ではなく藤原行成(渡辺大知)を太宰府に遣わしていたら日本の歴史はどのようになっていたのだろうか。一矢で中関白家を凋落に追い込んだ隆家が、日本を救うための矢を放つとは、運命とは不思議なものだ。