【毎日書評】昔話『花咲かじじい』の欲張りじいさんは「パワハラ上司」?やらかした大失敗から学ぶ
欲張りじいさんはパワハラ上司、管理職に向かない
ともあれこの欲張りじいさんは、欲張りなだけではなくかなり直情的な人物でもあります。 気に入らないことがあると頭に血が上って暴力的な振る舞いをするというのは、会社でいえば典型的なパワハラ上司。少なくとも、管理職には向いていないタイプです。 佐藤 中でも、怒りに任せて白を殺してしまったことは、取り返しのつかないミスでした。だって、この犬は金銀財宝のありかを探す潜在能力を持っていたわけでしょう。一度の失敗には目をつぶって、いい餌を与えて育てるとかしたら、自分も隣のおじいさん、おばあさんのような僥倖(ぎょうこう)にめぐり合えたかもしれないのに、自分でそのチャンスを消すようなことをしたわけです。(95ページより) これを会社にあてはめるなら、部下がミスをしたことに激昂するあまり、その部下が持っている潜在能力を見抜くことなく潰してしまう上司のようなもの。しかも、そういう人は、自分が間違いを起こしたことにすら、気づけなかったりもします。 だから知らず知らずのうちに同じことを繰り返すことになるわけですが、それは失うもののほうが多いやり方。まず間違いなく、自分自身に対する信頼すら失っていくことになるのですから。 いずれにしても、このように読み解いていくと、慣れ親しんだ「花咲かじじい」でさえ仕事に活用できるわけです。(92ページより) 佐藤氏は、「100年、200年と語り継がれてきた童話や昔話というのは、すごいコンテンツ」だと表現しています。つまりそれらは多くの場合、現代に生きる私たちにとってのテキストにもなりうるということ。だからこそ本書を読み、日々の生活に活かしてみたいものです。 >>Kindle unlimited、99円で2カ月読み放題キャンペーン中! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: 中公新書ラクレ
印南敦史