「デジタル」「グリーン」学部を新設する大学が増加 その背景や理由とは?
選ぶなら教員と教育目標をチェック
いくつかの大学でデジタルとグリーンを並べた学部・学科の設置を予定、計画、検討している。その教育内容を読み解いてみよう(いずれも26年以降の設置予定で仮称)。 大正大(東京)は、情報科学部グリーンデジタル情報学科、デジタル文化財情報学科の設置を予定しており、次のように説明している。 「地域の環境(生活、地域、防災・減災)や生物多様性などを志向するグリーンインフラに加えて、ビジネスの視点から社会の持続的な成長まで志向するグリーンビジネスを基盤とする学び(グリーンデジタル情報学科)や、文化財や自然遺産のデジタルアーカイブに関する最新技術の他、それらを次世代へと継承していくための学び(デジタル文化財情報学科)を展開」(大学ウェブサイト) 環境問題について、AI技術を活用したビジネスの観点から解決する、と読むことができる。たとえば地球温暖化対策としてCO₂削減のためさまざまなデータを集めて活用し、環境問題政策を打ち出すわけだが、当然、環境に関する専門性、システムエンジニアとしての技量が求められる。ハードルは高い。 白梅学園大(東京)は、子ども学部デジタル・グリーン子ども学科を設置予定だ。 「本学を拠点にエコシステムを形成し、地域社会におけるGX・DXの推進を持続可能にする。人材育成の特色に、本学の強みである次世代育成と子育て支援の観点を入れ、現世代の理系分野の人材創出に加え、次世代の理系人材確保も視野に入れている」(大学ウェブサイト) ポイントは「エコシステム」「GX・DXの推進」「理系人材確保」となる。GX(グリーン・トランスフォーメーション)とは、省エネやエネルギー転換などで低炭素化を図り、クリーンエネルギーを目指すことだ。DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、さまざまなビジネス分野でのデジタル転換で、いまや大学では当たり前のように使われる言葉だ。子どもたちを教えるにあたって環境問題に目を向け、デジタルに強くなること。そのためには理系の知識が必要となる。かなりの知識、技術が求められる。 三条市立大(新潟)は工学部グリーン・デジタル学科の設置を考えている。 「デジタルやグリーンの知識を活かし、地域課題を解決するために未来志向で社会に価値を実装できる人材を育成するため、工学部に『グリーン・デジタル学科』の設置を検討するものです」(大学ウェブサイト) 三条市立大は機械工学、電気工学などを得意とし、地元・燕三条で盛んなものづくり分野での技術者、設計者を養成する。地場産業の担い手が期待されるなか、環境とAIに強い人材を育てようとしている。 新潟薬科大は応用生命科学部グリーン・デジタル学科の設置を計画しており、こう説明する。 「農学系の『応用生命科学部』を基盤に、農・食・バイオ関連分野におけるDX化やGX化をリードする人材を育成します」(大学ウェブサイト) 農学発展のために優れたシステムエンジニアの養成を訴える。習得すべき知識や技術は多い。