木曽川導水路「目的転換」して建設容認へ 名古屋・河村市長が会見
木曽川導水路「目的転換」して建設容認へ 名古屋・河村市長が会見
名古屋市の河村たかし市長は20日、市役所で定例記者会見に臨んだ。岐阜県の徳山ダムの水を名古屋市の取水施設のある木曽川に流す「木曽川導水路」事業について、「当初は名古屋市の水道水(を確保する計画)だったが、目的を転換する」として、渇水対策以外での活用を目指して建設を容認する考えを示した。来月にも国に提案書を提出するとともに、市民から賛否それぞれの意見を聴く場を設ける予定だという。 【動画】名古屋・河村たかし市長が定例会見(2023年2月20日)
「こんなもんいらん」初当選時の2009年に撤退表明
木曽川導水路事業は、揖斐川上流での徳山ダム建設に伴い、揖斐川と木曽川を全長43キロの地下トンネルで結んで水を流す計画。1976(昭和51)年に当時の建設省が計画を認可し、総事業費890億円のうち国が408億円、愛知県が318億円、名古屋市が121億円、岐阜県が30億円、三重県が13億円を負担して2015年度には完成する予定だった。 しかし、2009年に初当選した河村市長は「水余り」の中で無駄な公共事業だとして導水路事業からの撤退を表明。当時の民主党政権が事業を凍結していた。 河村市長はこの日の会見で「(当初計画の水需要は実際の)3倍の見積もりだった。そんなもんいらんがやということでやってきた」と、過大な需要予測を理由に事業に反対してきた経緯を述べた。
「造ってまった」ダムの水、治水や堀川浄化に活用想定
しかし「問題は(ダムを)造ってまったこと」とし、2008年までに完成した徳山ダムの総事業費3300億円のうち、名古屋市が水を使わなくても約700億円を最終的に負担することから、目的を変えて導水路事業による水を活用する方針を決めたと説明。具体的には治水や、市中心部を流れる人工河川の堀川の浄化などへの活用策を示した。 一方、「(事業そのものを)やめちまえばええという意見もある。(賛否)両方の意見を賜って、なんでこういう問題が生じとるのかというのを市民の皆さんに分かってもらえるような情報提供の場を作りたい」との意向を示した。 国への提案と合わせて愛知、岐阜、三重の3県にもあらためて説明するという。愛知県の大村秀章知事には「(今月の知事選後に)当選の挨拶にみえたときに話はしておいた」と述べた。 (関口威人/nameken)