小泉純一郎元首相がトモダチ基金創設で会見(全文1)被ばく米兵救済のため
放射能が出てるのを知らずに、防護服を着ずに救援活動
5月。で、4日間ですね。10名のその健康被害に遭った兵士の皆さんとお話をいたしました。だいたい20代、30代の方ですね。その方々がトモダチ作戦で韓国に行く途中、日本政府からの要請で「ロナルド・レーガン」がすぐ東北へ行けという指令を受けたと。で、東北沖合で停泊して、ヘリコプターで被災地等に行ったり来たりしながら、救援活動に励んでくれたんです。約1カ月間、そこに滞在しながら、さまざまな救援活動に励んでくれて、その後、しばらくたってから、体の調子がおかしいという状況だったようです。 半年後、1年後、病院とかお医者さんに診てもらったんだけども、原因不明と言われたと。そのうち、日がたつにつれて、鼻血が止まらない、下血が止まらないと、そういう状況のようだったようです。 通訳:あれは下痢ですか。 小泉:下痢ですね。下痢っていうか。血も出てる。下のほうからも血が出てるわけです。で、これは放射能の被害じゃないかなというふうにだんだん感じてきたようですよ。で、3月にこの話を聞いたときに、ブライアンさん、エイミーさんが、あの「レーガン」でその状況を映していたビデオがあったんですね。残ってんです。ビデオも拝見しましたよ。で、彼らは放射能が来てると知らないもんですから、あのときはメルトダウン、福島の原発が起きたとき、海のほうへ風が吹いてたんですね。そこで彼らはまさか放射能が出てるの知らないもんですから、防護服を着てないで救援活動してたわけです。で、帰ってきたら、原子力空母ですから当然、ガイガーカウンターなり、放射能測定器も乗せてますよね。それが鳴りだしてるわけですよ。すぐ服を脱げ、シャワーを浴びたっていう、そういうような話も、ちゃんと声も、音声も入ってるんですよね。 だから、東北地方の人よりも放射能の風、放射能プルームっていうんですか。それが海に行ったもんですから、もろに放射能汚染の中にいるんじゃないか、状況、恐れてたわけですね、みんな。話に出てるわけですよ。ことによると、これ俺たちは放射能の中にいるんじゃねえかっていう。考えてみれば、服を脱いでシャワー浴びろって言われても、今から考えると、シャワーを浴びるの、海水ですから、海水の塩分を除くシャワーを浴びてたと。放射能の物質は除けないんですよね。なおかつ、料理は海水を真水にして、淡水にして、海水を使って料理してんですから、当然放射能の汚染された海水です。海水を、塩分だけ取った真水ですけども放射能物質は残っている、汚染された、汚染水によって料理してたわけですよね。それを食べてるわけですよ。 で、日がたつにつれて、病気の症状は重くなる。しかし、この病気は放射能の被害によるものとは断定できないというのが、病院においても医者においても共通の言葉だったようです。彼ら、じかに会ってお話聞いてたんですが、彼らは海兵隊ですから。聞くところによると、海兵隊っていうのは一番厳しい訓練をされる、要求される部隊のようですね。だから、みんな頑健な兵士だったんですよ。20代、30代ですから、頑健な、健康状態良くなきゃ、海兵隊に採用されないわけですよね。その頑健な兵士がもう軍隊の隊員としての活動も十分できなくなった。日々、体の症状が悪くなってるのはよく分かってる。そういう状況の話をじかに伺いました。 私が行ったときは、もうすでに7名の方が病気で亡くなったと。300人もその病気で苦しんでる兵士たちが出てきたと。だからそういう話で、サンディエゴに来てくれるっていう人は限られてたようですね。さまざまな病状の方から聞こうと思ったんですけども、最後、もう1人、来るという予定の人が病状が重くて来れないという人、その人はできませんでしたけども、だいたい症状の比較的軽い人が来てくれたようです。 女性兵士の1人で、妊娠しながらその救援活動をしていた女性がいたと聞いています。その方は本人はみえませんでしたけども、生まれたときは障害児で、もうその子供は亡くなったと。本人も今、病気で除隊しているという話でした。で、それぞれ若い兵士が頑健な体にあるにもかかわらず、思いがけない放射能に汚染されて、病状に苦しんでいる姿。会ってみて1つ驚いたことには、病気を抱えながらも諦めというか、何か明るいんですよね。暗くないんですよ、みんな。仕方がないって言って。 で、しかし、軍隊の隊員として病気が重くなっていくと、正常な活動が出来ない、普段の。で、自分から除隊、体が思わしくないので除隊した人もいるし、あるいは外から見ててもこれはもう活動できないだろうと思えば、除隊せざるを得ない。そういう状況のようですね。で、除隊すると、お医者さんにかかった場合、医療保険が利かないという人がいましたね。 通訳:その病気の。 小泉:兵士の中ね。自分が除隊させられると、除隊すると、今まで軍隊にいた限り、軍の病院で面倒見てくれると。しかし、除隊しちゃうともう軍の病院とは関係なくなってる。自分で行かなきゃいけない。民間の病院に。 で、どちらかと言うと海兵隊委員の皆さんは比較的、裕福ではない家庭の方が多いと。日本のように国民皆保険じゃないですから、アメリカは。医者にかかるだけで相当なお金が掛かるようです。あの頑健な兵士がね、こういう活動できないで、苦しんでる姿をどうしてもっと早く知らなかったのかと。またあまり新聞で報じられてないのはなんでなのかと、不思議に思いましたね。