オリックス泥沼7連敗のなぜ?
ただ意地も見せた。7回にロドリゲスの来日1号2ランで1点差と迫り、高橋光をマウンドから引きずり下ろした。二死二塁と広げた同点機に、打率1割台のトップバッターの中川に代え、代打・山足を送る”執念采配”。セカンドゴロだったが、打球処理を焦った名手の外崎が”お手玉”して、二死一、三塁にしたが、安達はライトフライに終わり追撃は絶えた。 相手のミスにつけこんだ西武と、相手のミスにつけこめなかったオリックス。チームの勢いの差とは、こういうことを言うのだろう。 試合後、西武の辻監督も「ああいうエラーが出てからつけ込むのも野球。確実に点をとれたのが大きかった」と、ミスを得点に変えた場面がポイントだったと振り返った。 新型コロナウイルスの影響を受け、移動による感染リスクを減らすため同一カード6連戦というイレギュラーな日程となった。日本シリーズなどの短期決戦と同じて、一度、負の連鎖が生まれてしまうと、断ちきることが難しく、連敗を期す危険性があることが危惧されていた。バッテリーは、連戦間、徹底して弱点をついてくるし、“逆シリーズ男“が生まれてしまうと手がつけられなくなり、黒星が重なると「負けられない」のプレッシャーから動きが硬くなり、さらなるミスを生み出してしまう。まさにオリックスは、その”連戦地獄”にはまってしまっている。 元千葉ロッテの異色の評論家、里崎智也氏は、この試合までのロッテ戦の同一カード6連敗の理由をこう分析していた。
「同一カードを6連戦戦う上で、流れというものがキーワードになると考えていたので6連敗もありえると予想していました。だが、オリックスの場合は、そういう流れの問題は関係なく、ほとんどが自滅です。ほぼ毎試合、エラーや走塁の考えられないミスが起きています。記録に残らないミスが目立ちます。ロッテとの6連戦は、ミスがなければ3勝3敗の5分の星を残せたのかもしれません。ミスから点を取られると、ダメもとだと考えていた相手が勢いづくのが野球なんです」 では、なぜオリックスにミスが多発しているのか? 里崎氏は、こんな厳しい指摘をしている。 「チームの中身はわかりませんが、オリックスを外から見る限り、チームに規律がないように見えます。選手は一生懸命やっていますが、各々が勝手にやっています。チームは、どういう役割を選手に与え、選手は、どういう役割を果たすのか。そういう規律がチームで徹底されていないのではないでしょうか」 その上で、トンネル脱出の条件は、ただひとつだと強調した。 「普通のことを普通にすること。それだけです。開幕投手の山岡の戦線離脱は痛いですが、山本という絶対エースがいて、打線には、吉田に2人の外国人がいる。ここまで連敗を重ねるチーム力ではありません」 「普通」とは、基本に立ち返り、「捕る」、「投げる」、「走る」を忠実に守ることだ。 先発のアルバースが好投しブルペンも踏ん張った。1、2番が機能せず、打線に爆発力は生まれていないがゲームにはなっている。1点差負けは6試合。ひとつ何かが変われば、オセロゲームのように黒星が裏返り白星につながる、との期待はある。 西村監督は、「これからです。まだ10試合。あと110試合をしっかりと戦っていくだけです」と前を向いた。 来日1号を放ったロドリゲスも、ナインを代表してこう言った。 「気持ちを切ることなく戦うことが大事なんだ。明日からもしっかり戦っていく」 今日の先発に指名されたのは、26日のロッテ戦で脇腹を痛め、わずか3球で降板した山岡の後を受けてスクランブル登板した6年目の鈴木優。プロ入り2度目の先発となる都立雪谷高出身の2014年ドラフト9位の男が、悲願のプロ初勝利を手にして連敗脱出のヒーローとなれるのか。