《88才の外科医・帯津良一&高齢者専門精神科医・和田秀樹対談》名医2人が明かす食生活「朝食に生ビール」「お酒のシメにはラーメン」「生野菜は食べない」
正常値に揃える必要はない
帯津:私は高血圧も痛風もありますが、薬はあまりのみたくなかったので、最初は「ライフスタイルを変えるから薬はいらない」と言ったんです。でも、よく考えたら、痛風はお酒が飲めないし、高血圧は塩気がダメ。これは無理だと思って、薬をのみながら酒も塩気も充分に摂ると決めました。血圧はいまも160くらいですが、別にどこも具合が悪くないから、気にしていない。最近は測ってもいません。 和田:近頃の減塩ブームは、はっきりいって大きな勘違いです。血圧を下げることは活力を奪うことになるし、高齢になれば自然と血圧は高くなるもの。適応現象で、シニアになれば160くらいは適正でしょう。血管を元気に保つにはたんぱく質が必要ですから、豆腐や納豆を食べるのは非常に理に適っています。 帯津:数字に頼って、正常値に揃える必要はないというのは同感です。私は死ぬまで働きたいし、お酒を飲みたいと思っていて、そのためには下半身を弱くしてはいけないなと、骨の脆弱化を防ぐために、牛肉と昆布を食べるようにしています。昆布はカルシウムが豊富で吸収率が高いんです。 若い頃は分厚いステーキが大好きで昼から手術が終わると食べたりしていましたが、最近はどちらかというとすき焼きです。昆布はね、図らずも湯豆腐で摂ってました。最近は、昆布のだしをチェイサーにして飲んでるんです。 和田:1980年代頃からアメリカでは心疾患を撲滅しようと、体重を減らしてコレステロール値を下げるために「肉食を減らす方向」に舵を切りました。食の欧米化が進んでいた日本も追従しましたが、当時、アメリカ人は1日に300gの肉を食べていましたが、日本人はわずか70gほど。それで減らすのは大間違いです。現代においても、日本人は肉も脂も足りていません。 揚げものも健康に悪いなんて思われているけど、日本人はもっと食べた方がいい。ぼくは揚げもの全般が大好きですよ。女性の場合は肌のハリにも影響しますから。
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