錦織の股抜きショットが米メディアが選ぶ2016年10傑の9位に選出
世界ランキング5位の錦織圭(26、日清食品)が27日、米フロリダ州のブラデントンにあるIMGアカデミーで2017年に向けての練習を公開した。2016年は、錦織にとって大きな爪あとを残す飛躍のシーズンとなった。リオ五輪では、3位決定戦でナダルをフルセットの末に破って、日本テニス界にとって96年ぶりとなるメダルを獲得。その勢いのまま、全米オープンでは2年ぶりにベスト4に進出。準々決勝では、マレーとの激戦を制して大きなインパクトを与えた。またATPワールドツアー・ファイナルズでは2年ぶりに準決勝へ駒を進めた。年間勝利数の58勝は、マレーの69勝、ジョコビッチの63勝に次ぐ3位だ。 米スポーツ局ESPNの電子版は、この日までに2016年テニスツアーのベストショット10傑を発表したが、錦織のベストショットが9位にランクインした。 これは、10月26日にスイス・バーゼルで開催されたスイス室内のシングル2回戦でイタリアのパオロ・ロレンツィと対戦した時のもの。第7ゲームの0-0から、錦織が見せた股抜きショットが選ばれた。錦織はロブで頭上を越されたが、追いついて後ろ向きの状態で股抜きショットで返球。もう一度、ネットに詰めてボレーでポイントを奪ったものが選出された。 ESPNは「このラリーの間中、どんなポジションでも彼は自分のやり方を見つけ出し、答えを出した」と紹介。試合の動画が貼り付けられており、そこには、「バーセルのホットショットで錦織は全てのことをやってのけた」というタイトルがつけられていた。 動画の中の中継アナウンサーは、股抜きショットからポイントを奪ったシーンを次のように実況して、この芸術的なスーパープレーを絶賛した。 「彼は、やり遂げた。信じられますか。彼の頑張りに褒美が与えられましたね。本当にすばらしい。ロジャー・フェデラーは、これを見ているでしょうか。どうしてこういうプレーができたのかは、やはり、彼があきらめなかったこと、さらに(股抜きショットの)その後も、やるべきことをやったからです」 このプレーに対して、ファンからの「トップの選手は、残りのプロ選手のレベルとはこれほどまでに違うものなんだ」。「なぜ、股抜きショットのたびにロジャー・フェデラーの名前を出すのだろう。股抜きショットは他の選手もやっている」というような投稿コメントも寄せられていた。 実は、錦織は2015年にもATP公式サイトが選ぶベストショットにも選ばれている。こちらは投票によって決まったもので、そのときも、2015年8月のロジャーズ杯3回戦のゴフィン戦で見せた股抜きショットが選ばれた。ATPとESPNで2年続けて股抜きショットで選出されれば、「なぜ、ロジャー・フェデラーの名前を出すのか」というファンの意見にもうなずける。 ちなみに今回。ESPNが選んだベストショットの1位は、全豪オープン準決勝のジョコビッチとフェデラーの対戦で見せたフェデラーのショット。フェデラーの頭上を抜けたロブを追いかけて振り向きざまに打ち返してからラリーは続き、最後はフェデラーがバックハンドショットでサイドライン上に決めたものだ。 「ジョコビッチは、勝つために素晴らしいテニスをしたが、フェデラーも信じられないジョコビッチのお株を奪うようなショットを見せた。もし、このショットの後か、この翌日に、彼がひざを痛めたとしても、それは驚かないようなものだった」と絶賛していた。