新国立競技場をデザイン 建築家の隈研吾氏が会見(全文2)
コストとスケジュールが最重要テーマ
司会:(英語) 記者3:(英語) 隈:コストに関しては今回、コストとスケジュールがすごい重要なテーマになってるので、設計してるときから、設計した最初のときからなんとか安くつくれる形をつくり出そう 0っていうのを最も重要なテーマの1つに考えてました。 ちょっとディテールの話、テクニカルな話になるんですけど、そのために、水平型っていうふうにわれわれはしてます。水平型はサドル型に比べて全部の断面が同じなので、同じ部材を繰り返していけばいいので、水平型っていうのはコストにまず大きなメリットがあると考えました。 それからまたディテールなんですけど、使う木の使い方はなるべくどんな小さな工場でも加工できるサイズ、どんな小さな工場でも加工できるディテールで木を使おうというふうに考えました。 例えば屋根に使ってる唐松ですけど、われわれは唐松の集成材っていうのはこういう建物の場合は1メーターぐらいのものをよく使うんですが、われわれはそれを2分割して45センチに抑えたんです。45センチだと小さな集成材の工場でも作ることができるので、値段を抑えることができる。そういうふうに全てのディテール、寸法においてコストを抑えるということで決めました。それから、プレハブのやり方も最初から考えてまして、このソフィットに使ってある木のパネルは全部パネルになって工場で作って、あと現場で同じ寸法のものを工場から持ってきて全部貼り付ければできるように考えました。 実は今の時代は世界中のどこでも、コストっていうのが一番大事な時代になってるんですね。私どものフランスのプロジェクトも、例えばアメリカのプロジェクトでも、コストが本当にいつも問題になります。皆さん、ちょっとでも高く掛かる、例えばぜいたくな建物はもう世の中から批判される、厳しく批判される時代なので、どうやったらコストを安くできるかっていうことをわれわれの事務所は、それに関してはいつも考えております。 司会:(英語) 記者4:(英語) 隈:まず地震のことですけど、地震に関しては、やはり東京でそろそろ大地震が来るということはみんな恐れていますので、今回も地震に関する注意というのは大事にしました。われわれ、制震構造っていう、制震構造っていうのは英語で訳せますか。制震構造というシステムを用いて地震に対して対抗しようというふうに考えました。制震構造、うん。 それから、ザハさんのことなんですが、私はそんな外国人の人に国のスタジアムを任せたいってことは、そういう気持ちが働いたというふうにはまったく考えていません。ただ、外国の人、建築家が日本で働くときは、やっぱし仕事はしにくいだろうなっていうのは感じます。それは僕自身の体験から、やっぱし僕が海外で仕事をするとき、やっぱし仕事は実は結構しやすいんですね。それでヨーロッパでも、実は中国でもすごく仕事が今しやすくなってます。で、そういう外国人が来てデザインすることに対して、すごくウエルカムな空気を僕は感じるんですね。で、それが本当に日本であるかどうか。私自身は日本で外国人として体験したことがないので分かりませんけれども、やはり例えば英語でのコミュニケーションとか、例えば日本人独特の会議のやり方とか、そういうようなことは日本ではあるんじゃないかなというふうに思うので、やはりまだまだ日本というのはそういうとこを努力して、もっと外国の人に門戸を開かなきゃいけないというふうに私は考えてます。