「コンタクトレンズで視力が低下?」「カラコンの色が移る?」コンタクトレンズに関するウソ・ホントについて解説
日常的に使っている人も多く身近なものなのに、意外と知らないコンタクトレンズのこと。ユーザーに知識を深めてもらい、よりよいコンタクトライフを送ってもらいたいと『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない』(アスコム)を上梓したのは、コンタクトレンズ会社社長の吉田忠史さん。コンタクトレンズに関してよく言われる情報の真偽について教えてもらった。 【イラスト解説】コンタクトレンズのサンドイッチ製法とは?イラストで解説
Q.コンタクトレンズで視力が低下するのはホント?
「コンタクトをつけていると視力が低下する。そういってコンタクトを避けているという人にも少なからず出会います」と話す吉田さんは、「眼科医の河内敏先生によると、どうやらホントのようです」と続ける。 一方で、正しい方法を守って使う分にはそこまでセンシティブになる必要はないという。それは、裸眼でもメガネでもコンタクトでも視力低下は起こりうるからだ。 ◆ドライアイや眼精疲労による視力低下の可能性も コンタクトレンズで視力が極端に落ちることはないが、装着時間が長いとドライアイや目の疲れによって通常の視力が出にくい状態になることに注意が必要だ。 「黒目の表面の涙の保護層がきれいな層になっていると、クリアに見えて視力が出やすいのだそうです。しかし、ドライアイの状態で乾燥し、保護層が波打った形になると、見えにくくなります。コンタクトの人が夕方見えにくいのは、ドライアイになっていることが多いので、もし夕方以降に目薬をつけて、目にうるおいを与えて見えるようになるならば、その視力低下はドライアイが原因です」 また、眼精疲労によって一時的に視力が低下することもある。その場合は、疲労が取れることで戻ることが多いため、めがねを併用したり、遠くを見るように意識したり、意識的に目のケアを行うことが望ましい。 ◆視力の低下の原因は筋肉の変化 そもそも、視力の低下には大きく分けて2つの原因がある。 「1つは、成長によるもの。成長すると眼球が大きくなり、眼軸長(がんじくちょう)という眼の奥行きの長さが延び、焦点距離(焦点が合う距離)も延びるため、手前で像が結ぶようになるのだそうです。それにより近視化が進みます。もう1つは適応力。たとえば、遠くをよく見るためにメガネやコンタクトを利用している人が、近くを見続けると脳が『近くを見ることが大事なんだ』と認識して、近くに焦点を合わせるようになるのだそうです」 近くにピントを合わせるために、さらに近視が進んでしまうのだという。つまり、ピントを合わせる筋肉の変化に原因があるため、装着時間を無視してつけたり、清潔でないものをつけたり、つけたまま寝てしまうなど、目に負担をかける使い方をしない限りはコンタクトレンズの使用を極端に避ける必要はないという。