山下智久主演『正直不動産2』続編なのにさらに面白くなりそうな5つの理由。若者向けでない人情喜劇に心が温まる
◆続編では強力な敵が現れた ドラマの続編は期待はずれになりがち。ネタが尽きたり、マンネリ化したりするのが理由だ。しかし、1月9日にスタートしたNHK『正直不動産2』(火曜午後10時)は2022年に放送された前作に増して面白くなりそう。根拠を5つ挙げたい。 【写真】睨み合う山下智久とディーン・フジオカ。師弟対決も見もの 第1に対立構図が複雑化した。前作は、基本的には祟りによってウソの吐けなくなった登坂不動産の営業マン・永瀬財地(山下智久)が、それでも好成績を挙げようと奮闘する物語だった。 続編では強力な敵が現れた。ミネルヴァ不動産の営業マン・神木涼真(ディーン・フジオカ)である。永瀬の元上司で、同社に転職した。不動産を売ることに人生の全てを捧げており、違法スレスレの営業も平気。顧客に好感を抱かれる笑顔をつくるため、整形手術までしたというから、徹底している。永瀬に顧客の騙し方を指南した人物でもある。 神木は正直営業に転じた永瀬を毛嫌いし、「おまえから全てを奪ってやる」と宣言。突拍子もない言葉だったので、永瀬はピンと来ていなかったようだが、本気らしい。神木は光友銀行・榎本美波(泉里香)に急接近する。永瀬と親しい女性だ。 敵はまだいる。登坂不動産に中途入社してきた大地主・藤原結弦(馬場徹)である。営業成績ナンバーワンを常に目指す永瀬に対し、「僕、ナンバーワンとか興味ないっすから」と、軽く言い放つ。それでいて地主仲間との関係を生かし、瞬く間に自分がトップに立つ。コネクションだけの男なのか、それとも秘かな営業テクニックがあるのか。つかみどころがない人物である。
◆ドラマは対立構図が多いほど見どころが増える 登坂不動産の新入社員・十影健人(板垣瑞生)は永瀬の部下だが、この男も敵に属するだろう。永瀬が顧客先へ行くよう命じても平然と断る。「無理っす」。別の仕事があるわけではない。ランチに行くからだ。 十影は好成績を狙う永瀬に向かって、「そんなに成績を上げたいんですか?」と冷めた表情でつぶやく。永瀬が「給料が上がるし」と答えると、「オレ、基本給だけで大丈夫すけど」と鼻で笑う。ついには友達と会うために早退してしまう。 どうやら現代の若者の一部を象徴する青年らしい。こらえきれずに永瀬が十影を叱り飛ばそうとすると、前作で一人前になった営業ウーマンの月下咲良(福原遥) が押しとどめる。「怒っちゃダメです。怒られて伸びるタイプの若者はもう絶滅していると思ってください」。なるほど、そんなものかも知れない。ドラマは対立構図が多いほど見どころが増える。 第2に出演陣が粒ぞろい。永瀬役の山下は俳優としての魅力が増すばかりである。良い俳優の条件は「1に声、2に顔、3に姿」と古くから言われるが、山下は低音の声が抜群にいい。また、つくろうとしてもつくれない存在感がある。演技力もあり、永瀬役を自分なりにアレンジして演じている。顔がいいのは言うまでもない。 前作に続き、続編の初回に登場した名優の山崎努(87)はよほど山下のことを買っているのだろう。役柄は和菓子職人・石田努役だ。