山下智久主演『正直不動産2』続編なのにさらに面白くなりそうな5つの理由。若者向けでない人情喜劇に心が温まる
◆顧客ファーストが営業マンの神髄 第4にビジネス知識が得られる。前編で得られる知識は不動産関連のものに限られていたが、続編では幅が広がり、パワーアップした。 たとえば、人は会えば会うほど親近感を抱いてくれると説いた。「単純接触効果」である。また、相手に物品を贈ると、自分に有利になる。人は何かをもらうと、自然とお返しをしなくてはならないと思ってしまうからだ。これは「返報性の原理」と称する。物品の贈答が禁じられているビジネスがあるのは、これがあるためだ。 また、セールスなどにおいて「みんながやっている」という言葉は殺し文句になる。人間は多数派と同じ行動をとることに安心感を抱きやすいためである。これを「ハーディング現象」と呼ぶ。株式取引で多くの人が買い、あるいは売りを行うと、雪崩をうちやすいのも同現象に近い。 第5に後味が文句なしにいい。初回、神木との戦いの勝ち負けに躍起になっていた永瀬に対し、登坂が「おまえ、どこ向いているんだ」と、たしなめた。そのとき、永瀬は登坂が何を言いたいのかが分からなかった。 しかし、初回終盤で登坂の言葉の真意に気づく。顧客ファーストが営業マンの神髄。ライバルとの勝ち負けで仕事をするわけではない。田口の不動産売買は神木に奪われたが、田口一家が悲しむのを防げた。永瀬は満足だった。観る側も心が温まった。
高堀冬彦