僕が見たかった青空・岩本理瑚『SASUKE2024』で奮闘「歴史に自分も関わることができたんだ」
最終種目はSASUKEタイムレース
岩本はトップバッターとして挑んだ。「100回は超えたいです」と宣言してからスタートすると、目標の100回を超えた。観客が回数をコールする。その声は129まで続いた。岩本はその場に倒れこんだ。すると、すぐさま八木が駆け寄り、回転を続けるバーを止めた。岩本には温かい拍手が送られた。 岩本「トップバッターだったから129回跳べたのかもしれません。後半だったらどのくらい飛んだらいいか基準がわかるけど、私の場合、ジャンプしながら自分と闘い続けるしかありませんでした。でも、精いっぱいの力を出せたから悔いはありませんでした。あと、なぜだかわからないけど、115回のあたりから涙が出そうになってきました。多分ですけど、回転するバーを見続けていたから催眠術にかかったのかも(笑)」 無限ジャンプで岩本は3位に入った。総合で2位につけた。1位の風見和香(私立恵比寿中学)とは5ポイント差。逆転はあり得る。 最終種目はSASUKEタイムレース。ハードルを5台くぐり、平均台を渡ってから、SASUKE名物の「そり立つ壁」の縮小版を登り、そのタイムを競う。岩本の出番は8番目。トップの記録は16秒台だ。 岩本「タイムレースは自信がありました。小学校のときから四つん這いで走るのは超得意でした。平均台の上で走る練習も公園でしていました。そり立つ壁は、以前レギュラー番組「坂道の向こうには青空が広がっていた。」(フジテレビ系列)で挑戦したら、1回でクリアできました。日頃から懸垂をしているから腕力はあります。この競技に懸けていたし、楽しみで仕方ありませんでした」 スタートの合図が鳴る。岩本は肉食動物のようなスピードでハードルをくぐっていく。他の出場者とはレベルが違った。勢い余ったまま平均台にたどり着いた。並走している八木は「慎重に!」と声をかける。 岩本「平均台では落ち着いていこうとは思っていました。あそこで落ちなければ絶対ゴールまでイケる。でも、ハードルくぐりで勢いがつきすぎて、平均台にぶつかってしまいました。そこで焦ってしまって。平均台に乗ったけど、前しか見ていないんです。足元を見ていませんでした」 平均台に乗り、小走りを始める。その4歩目の右足は平均台からわずかに外れる。大きくバランスを崩した岩本は床に倒れた。岩本の優勝は消えた。 岩本「悔しかったです。ずっと引きずっています。私は優勝したかったです。多分、疲れていたんだと思います。疲れた筋肉は言うことを聞いてくれませんでした」 全種目が終わった。12選手が整列し、3位から1位の発表があった。岩本の名前は呼ばれなかった。1位が呼ばれる前、堪えていたものが溢れ出た。 岩本「なんでやっちゃったんだろう……。最後の種目をゴールしていれば……。1位じゃなくても総合で1位になれたのに……。そんなことばかり考えていました。涙が爆発したのは、授賞式が終わって、裏に戻ってきた瞬間です。仁愛ちゃんやマネージャーさんが『頑張ったね』と言ってくれたんです。その言葉で涙があふれてきました。いくら頑張ったって結果が出ないと意味がないって、私は自分を責めていました」