大阪桐蔭「最強世代」主将・中川卓也が語る西谷浩一監督 センバツ
大阪桐蔭の西谷浩一監督(54)が選抜高校野球大会第8日の27日、監督として甲子園通算最多勝「69」の記録達成を懸けて、神村学園(鹿児島)との2回戦に臨む。初戦で勝利し、智弁和歌山などを率いた高嶋仁さんの監督最多勝記録に並んでいた。 【大阪桐蔭vs北海】北海・片岡選手がミラクルキャッチ 西谷監督はどんな指導者なのか。根尾昂投手(中日)、藤原恭大選手(ロッテ)ら「最強世代」を擁し、2018年に春夏連覇した時の大阪桐蔭主将・中川卓也さんに、恩師について語ってもらった。【円谷美晶】 ◇「選手を乗せるのがうまい」 中川さんが最初に語ったのは、チームや野球と向き合う時の恩師の姿だった。 「西谷先生は誰よりもチームのことを考えて動いてくれています。練習後に寮に一人でこもって、何かを書いては考え、書いては考えってしていたり、メニューも全てを甲子園から逆算して作ったり。それだけ期待して、考えてくれているから、選手も応えないわけにはいかないという気持ちになります」 試合中はどんな采配をし、選手とどう接しているのか。 「盗塁やエンドランなど走者を動かすことが多く、それがはまる采配面もすごいと思いますが、やはり選手をどうやって奮い立たせるか。試合で劣勢の時はモチベーション一つでプレーも変わってくる。そういう時に選手を乗せるのがうまいなと思います」 ◇「勝負の最後は人間性」で決まる 中川さんは西谷監督から多くのことを学んだという。 「『勝負の最後は人間性(で決まる)』と言うくらい人間性を大切にされている方です。西谷先生からは『お前たちは選手の前に生徒だから、学校生活はちゃんとしなさい』と言われていました。その時は分からなかったけど、今になって分かることがたくさんあります」 「学校生活をちゃんと送ることは、絶対に野球にも生きてくる。学校の先生や他の部活の同級生、違う学年の生徒……そういう人たちからも愛され、応援される。本当の価値はそういうところから生まれるのかなと思います」 高校卒業後も、西谷監督から励まされたことがあった。 「大学3年の時、練習中に顎(あご)を2カ所骨折して手術をしました。その時に西谷先生に報告の連絡をしたら、『中川はけがの後に活躍するイメージがある。けがしたことをプラスに変えられることが、お前の強み、特徴でもあると思うよ』と言ってもらいました。それで、そのけが明けの3年秋に初めてベストナインに選ばれたんです。社会人になってからもけがはありますが、『これも何かの試練。この後、活躍できるような準備をしよう』と考えるようにしています」 中川さんは現在、社会人野球の東京ガスでプレーする。恩師の言葉は、今も自身の人生に大きく影響しているという。 「今、社会人になって西谷先生の言葉の意味をすごく感じられます。甲子園で優勝もさせてもらいましたが、一人の人としても成長できた高校3年間でした。社会人としての土台はそこで作られたと思っていますし、そこは感謝してもしきれません」 ▽なかがわ・たくや 2000年7月28日生まれ。大阪府出身。大阪桐蔭では2年春の甲子園で優勝し、3年生の春夏は主将として甲子園連覇を達成した。高校日本代表でも主将を務めた。早稲田大では1年春からリーグ戦に出場し、3年秋に三塁手でベストナイン。23年に東京ガスに入社。身長175センチ、体重85キロ。右投げ左打ち。