民放ドラマ「ベスト助演男優」は? 最も演技が良かった役者(5)演じ分けが見事…お茶の間を驚かせた新星は?
2024年も数々の名作が生まれた。中でも、ここ数年の民放ドラマの勢いは凄い。各局がこぞってヒット作を生み出そうとしている熱意が画面越しに伝わり、それに伴い役者陣のパフォーマンスもより充実しているように思える。そこで今回は、2024年のドラマで印象を残した“助演俳優”を5人セレクトして紹介する。第5回。(文・まっつ)
塩野瑛久『無能の鷹』
役者を指して「カメレオン俳優」と評すのは陳腐な表現だとは思う。ドラマなのだから、全く異なる役柄を演じるのは当たり前だ。だが、ほぼ同クールに全く印象の異なるキャラを見せてくれた塩野瑛久には、恥を忍んでもカメレオン俳優と言いたくなってしまう。 大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)では一条天皇を好演。端正な顔立ちを活かして、天皇だけが持つ高貴な雰囲気を醸し出してみせた。こちらもハマり役だったが、それ以上に大きなインパクトを与えたのが後発だった秋クール『無能の鷹』(テレビ朝日系)への出演。鶸田道人という、気弱で「無能そう」という印象を与えてしまう新入社員を演じた。 ボサボサっとした髪型などビジュアルからして一条天皇とは一線を画すが、自信なさげなオドオドした喋り方、情けない走り方など言動でも多くの工夫を施し、鶸田というキャラクターを構成。加えて、主人公・鷹野ツメ子(菜々緒)との出会いで徐々に前向きな性格となっていく様子もあらゆる所作からしっかりと感じることができた。 主演を務めた菜々緒によると、塩野は「あまりにも役によって印象が違うので顔を覚えてもらえない」と悩んでいるのだとか。しかし、俳優としてあまりに大きな武器を持っている塩野の今後のキャリアは明るいものしか想像できない。 (文・まっつ)
まっつ