宣言延長の東京・大阪・愛知 解除の新指標でも「真っ赤」
政府は9日、新型コロナウイルス対策本部を開き、19都道府県について緊急事態宣言を今月末まで延長することを決めた一方、宮城、岡山の2県については解除し、まん延防止等重点措置に移行させることにした。その際の判断基準となったのが、政府のコロナ対策分科会が提言した新しい指標だ。9日夜に会見した西村康稔経済再生担当相は「新しい指標で見ても東京、愛知、大阪は真っ赤。医療のひっ迫を改善していかないと解除はできない」と述べた。 【動画】尾身会長が会見 「緊急事態宣言」新たな解除基準を提言
医療ひっ迫をより重視した新しい指標
分科会は8日、ワクチン接種が進む中で緊急事態宣言を解除する際の新たな指標を提言した。これまでの指標は新規陽性者数を考慮したものだったが、新しい指標では「今まで以上に医療ひっ迫の状況を重視していく必要がある」と指摘。その際にはコロナ医療と一般医療それぞれの負荷を意識する必要があるとした。 具体的には、コロナ医療への負荷をはかる指標として、 (1)病床使用率が50%未満 (2)重症病床使用率が50%未満 (3)入院率が改善傾向にある (4)重症者数が継続して減少傾向にある (5)中等症者数が継続して減少傾向にある (6)自宅療養者と療養調整中の数の合計値が10万人あたり60人程度に向かって減少している(大都市圏の場合) の6つを挙げた。 もう一つの一般医療への負荷をはかる指標としては (7)救急搬送困難事案が減少傾向にある(大都市圏の場合) を挙げた。
自宅療養者らの指標、東京は「基準の倍以上」
西村担当相は9日の会見で、この新指標を当てはめた緊急事態宣言の主な対象地域の数値を紹介。例えば東京でみると、▽病床使用率が65%▽重症病床使用率が89%▽重症者数は増加傾向といずれも解除基準を上回っている。とりわけ自宅療養者・療養調整中患者の指標では10万人あたり122人と、基準の60人程度の倍以上の水準になっている。 10万人あたり60人とは「東京でいうと8400人くらいというレベル」と例示し、「そこに向かって確実に下がっていくことが重要。まだ(自宅療養者や調整中の患者が)1万7000人程度おられる。そこが下がっていかないとなかなか解除は難しい」と語った。 ちなみに愛知県は10万人あたり270人、大阪府は同200人とこの2府県も「非常に高い水準」(西村氏)だ。 自宅療養者らの10万人あたりの人数を前週比でみると、東京は0.64、大阪も0.83と減少傾向にある。「(宣言期限の)9月30日頃まで感染者が減り、自宅療養・調整中の方が減ってくれば解除も視野に入ってくる」と今後の推移に期待した。 ただこの指標で愛知県は芳しくない。「愛知が遅れて新規陽性者が上昇している。自宅療養・調整中の前週比が1.15と先週から増えている。10万人あたり(の人数)は270と非常に高い数値」と警戒した。 一方、一般医療の負荷をはかる指標である救急搬送困難事例でみると、愛知(名古屋市=1.47)、大阪(大阪市=1.16)は増加傾向。東京は減少傾向ではあるが、0.71とまだ高い水準にあるとした。 重症者数について、全国では8日時点で2173人と過去最多の水準が続く。「新規陽性者の数は減少傾向だが、遅れて入院者の数、重症者の方が出てくる。何としても新規陽性者の数も減らしていかないといけない」と述べた。