34歳でフル回転、V奪回ならMVPも…「阿部巨人」のキーマン「菅野智之」を復活させた“名コーチ”とは
後輩にキレる
就任1年目の阿部巨人を支えてきたのは紛れもなく菅野だ。ここまで14勝で防御率は1点台。巨人が優勝すればMVPどころか沢村賞のダブル受賞もありうる。 菅野は残り2試合に登板する見込み。次の登板は22日の首位攻防・阪神戦になると見られている。しかし、15日の中日戦では気になる場面も見られた。 この試合では捕手登録の大城卓三が9試合ぶりに一塁を守った。ベテラン坂本の体調不良による欠場が原因で、阿部監督が手駒を必死にやりくりした上での起用だった。ところがこの大城卓が3度も拙守をした。中でも、2点リードしていた5回表二死一塁、福永を外角低めのスライダーで一塁ゴロに打ち取ったかに見えたがこれを追わずに内野安打。ベースカバーに入った菅野は打球のコースに指を示して明らかに“激怒”していた。6回にその菅野に降板を告げる際に阿部監督は自らマウンドに向かい「大城をね、ファーストで使ったのは僕のせいなんで。申し訳ない」と謝罪をした。阿部監督自ら“火消し”に走った格好だ。しかし、「エースが試合中に味方にキレるなんてことはプロ野球ではあってはいけない」(夕刊紙記者)行為だ。大城卓は母校(東海大)の後輩でもある。
采配にブーイング
阿部監督は今年が3年契約の1年目。原前監督が2年連続Bクラスという“負の遺産”を残したことで、巨人・山口寿一オーナーは「今シーズンのジャイアンツはどうしても勝ちたい。(阿部監督は)分かってくれていると思います」と、1年生の阿部監督に4年ぶりの優勝を厳命している。 阿部監督は大混戦の優勝争いの状況に、ベテランの菅野に中4日という「まるでクライマックス・シリーズか日本シリーズの時のような采配」(巨人担当記者)をあえて選択した。そもそも今季は、打順やレギュラーを固定せず、4番・岡本和真には本職の三塁はもちろん一塁や左翼まで守らせるなど、うるさ方が揃う巨人OBから「阿部監督の采配はバランスが悪すぎる」という声も出ている。「(阿部監督の)契約は3年ですから、監督人事をあれこれ言う状況ではない」(巨人山口オーナー)とはいいつつも、V奪還のチャンスを逃したら采配にブーイングが出ることは間違いない。歓喜のVか。監督批判が巻き起こるか。それもこれも、すべては菅野の今後の出来にかかっている。
小田義天(おだ・ぎてん)スポーツライター デイリー新潮編集部
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